マスター・ツートンのちょっと天使な添乗員の話

自称天使の添乗員マスター・ツートンの体験記。旅先の様々な経験、人間模様などを書いていきます。

こんにちは。海外添乗員のマスター・ツートンです。天使の添乗員です。

長年している海外添乗員という仕事の中で、経験したことを、ドキュメント小説風にシリーズとして書き上げていきます。

海外旅行好きの方、旅行や添乗のお仕事に興味のある方は、ぜひお立ち寄りください。時には、旅の情報も載せますよ。

コメントはお気軽に。返信は必ずします。ただし、誹謗中傷や内容に関係ないものは、ただちに削除いたします。

日本が大変なことになっており、新年の挨拶を憚りましたが…

今年もよろしくお願いします。
昨年に続き、新年はエジプトで迎えました。
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観光には、アブシンベル神殿の日の出が含まれておりまして、つまりこの日のそれは初日の出に当たっておりました。

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初日の出というお日柄ですかね。この日は日本人と台湾人が多かったです。日の出を待つのが好きな国民性。エジプトといえど、砂漠の朝は寒い。でも、待てます。初日の出ですから。
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雲ひとつない空から昇る朝日の美しさを格別。数えきれないほど来ているけれど、こんな良い条件もなかなかありません。
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振り向くと赤く染まるアブシンベル神殿。
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神殿内にも光が差し込んで神々しさが増します。やはり、アブシンベル神殿訪問は朝ですね!

最後におまけ。2023年最後の日没直後に見たナセル湖の風景。

2023年は、このシリーズの記事を書いたろうか?
おそらく今年最初にして最後の記事。そして、シリーズ最終回。

いきなり書こうと思ったのは、僕がかつて所属していたワクチンコールセンターが、今日で終わったから。
「まだあったの!?」と、思われた方が大半だと思うが、実は、日本のあちこちにまだある。僕が今年3月に辞めた後も、年配の方を中心に、接種希望者の大きな波が一度あったという。

しかし、いよいよそれも終わり。たぶん、コロナには終息宣言が出ないと思う中、コールセンターの終了が、自分にとってはそれに当たるような気がすると感慨深い。

元コールセンターのリーダーとしては気になるので一度だけ様子を見に行ったことがある。そして昨日は、偉そうに労いの言葉をかけに行ってきた。
自分の生活圏外にあるその街を訪れる機会は、以後、滅多にないだろう。そう思うと、また感慨深かった。

ふだんの生活では、すっかり意識することがなくなってきたコロナ。いよいよ、自分の周りで関わる人がいなくなる。

労いの言葉をかけに行った時、スタッフの一人が心配そうに言った。

「これから仕事見つかるかな。」

いい仕事が見つかって欲しい。よく「コロナで儲けた人々」を揶揄する発言があるけれど、コールセンターで働いていた人たちは違う。
最初の一年は、世の中でデルタ株が感染爆発するし、コールセンターでも感染者が出て、怖がって辞めた人が沢山いた。
そんな中、彼らは挫けずに仕事を続けた。得体の知れないコロナに立ち向かいながら、ワクチンの現場を回すために重要な役割を果たした。

パンデミックを恐れて揺れる世の中で、誰もやりたがらない仕事をやってのけたのだ。
ただただ、お疲れ様でした。
本当に、どうか次の仕事が見つかりますよう。

そして、その終わりとともに、僕はエジプトへ旅立つ。
年末年始のエジプトツアーは、去年と同じ。
でも、去年は、ツアー中のマスク着用が義務付けられていた。ワクチンの回数を証明するアプリ、陰性証明書等の提出も今はない。

同じ場所に同じ時期に行くからこそ感じる時代と世の中の変化。
コロナの歴史を改めて感じつつ、行ってきます!
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オーロラを絶対に見る方法。実は、ないこともない。正確にはほぼ絶対。

現在、航空機の欧州線ルートの大半は、北極圏の中を通る。この時が、最高のオーロラチャンスだ。

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上の写真のように、オーロラは北極圏で輪状に発生する。この中を通る航空機に乗っていれば、左右どちらに座っていても、オーロラが見える。少なくとも、僕は通る度に見ている。画像で見る太い部分は1日の中で動くので、左右どちらで大きなものが見られるかは、その時による。

雲の上を飛んでいるから天気は関係ない。地上では、オーロラが発生していても、天気がよくなければ見られない。つまり発生率=見える確率ではないのだが、雲に邪魔されない機上であれば発生率=ほぼ見える確率と言ってよい。美しい星空とオーロラの共演は感動的だ。

ただし、月が出ている時は例外だ。漆黒の闇の中における月明かりは強烈で、星の半分以上はかき消される。そのうえ雲が立ち込めていたら最悪だ。雪や白い砂浜での照り返しが眩しいの同じで、月明かりの効果が増大して、さらに空を明るくしてしまう。間違いなく夜なのだが、ひとたびオーロラを意識してしまうと、昼間のように明るく感じてしまう。

もちろん、そのあたりを旅行会社はきちんと計算している。オーロラがメインのツアーは、必ず新月の時期に設定される。だから、今回のフライトでは、ほぼ間違いなく機内でオーロラチャンスに恵まれると思われた。

航空会社はフィンエアー。航路は思い切り北極圏のど真ん中(稀に南周りの航路を取る悲劇はある)

ビジネスクラスのお客さんが1人。エコノミークラスのお客さんが5人。ビジネスクラスのお客さんは、最初から窓側に割り当てられていた。

エコノミークラスのお客さんは、事前にチケット情報をお知らせしてご自身で席を取っていただく。その際、窓側を取ればオーロラチャンスがあることをお伝えした。この時点でフィンランドの天気予報が良くないという情報を添えて。あとはお客さん次第だ。

お客さん次第というのは、フィンエアーの場合、事前に割り当てられていた席を変更すると、場所に関わらず追加料金が発生する。「お金を払ってまで拘らない」というのであれば、話は別だ。

なお、旅行会社が「機内でオーロラを見られる」という案内をすることはまずない。日本からの往路は、ほぼ北極圏を通るが、稀に南側のルートを取ることがあるからだ。例えば、カムチャッカ半島の火山が噴火した時は、南側を通る航空会社が多かった。

ツアー客が、オーロラ発生時に騒いで他の乗客に迷惑がかかる可能性もある。これは実際、僕がお客さんに知らせてしまったことで、経験したことがある。とても気まずかった。

また、良かれと思って案内したのに、予想しない反応がお客さんから返ってくることがある。

「分かっているなら、どうして旅行会社が最初から席を取っておかないのか。」

「客が寝ている時に出たら、添乗員が起こしにくるべきだ。」

などなど・・・。これらを仰る本人たちの中では、筋が通っているのかもしれないが、お客さんの席を同じ条件でお取りするなど不可能だし、添乗員がオーロラ出現に注意を払いっぱなしになっていたら、機内で心も身体も休まらない。はっきり言って、ご要望を超えたワガママだ。このことに限らず、思わぬ反応を怖れるため、有益な情報を旅行会社が言いたいのに言えないことがよくある。詳しくは言えないが。

ところで、今回はたった6人のツアーだった。それならば、ほぼ同じ条件でいろいろと案内できる可能性が高い。幸いなことに、エコノミーの5人中、一人参加の方と、新婚夫婦は窓側に割り当てられていた。年配の夫婦は、中央の座席に通路から席をとっていたが、この日の機内はガラガラだったため、オーロラが発生したら、席の移動も可能だった。

問題は、オーロラの発生時間に、お客さんが起きていられるかどうかだった。北極圏に入っていくのが出発してから6時間前後。フィンエアーの日本出発が22時くらいだから、日本時間の朝4時に当たる。常識的に考えれば、起きていられる時間ではない。添乗員も、現地に着いてからの仕事を考えれば寝ているべき時間だ。

だが、今回は特別だった。オーロラを見られる確率が限りなく低いオーロラツアー。希望に胸を膨らませた新婚夫婦。極端な少人数。通常のツアーなら無理だと思われるものでも、なんとかできるものはしてあげたい気持ちが先走る。

「今回だけ。今回だけ・・・。」

僕は、自分に何度も言い聞かせながら、北極圏に入る時間を計算して目覚ましをかけた。そして、空いている機内で横になり、枕元に置いた。少しでも寝ておきたい。でも、

「オーロラが出たら、お客さんを起こしに行こう。」

と誓って目を閉じた。

 

目覚ましに反応して起きると、窓の外を眺めた。うっすらとオーロラが出ている。5分もしないうちに、どんどん大きくなってくる。今まで見た中でも当たりと言える規模だ。

「来た!」

僕は、5人のお客さんたちを、文字通り叩き起こした。窓側に座っていなかったご夫婦は、感動している一方で

「これ以上見たら、現地での楽しみが減っちゃうから」

と、わりと早く切り上げたが、あとの3人は窓側の席だったこともあり、ずっとオーロラを眺めていた。

心配だったのは、ビジネスクラスにいらした一人だ。フィンエアーでは、添乗員のビジネスクラス立ち入りは禁止されている。僕は、ここ半年で顔なじみになったCAさんに、その方が寝ていたら起こしてくれないかと頼んだ。

「そこまでやるのですか?」

驚き顔のCAさん。一瞬、怯んだ。確かに、僕は過剰なサービスの代行をお願いしている。

「今回だけ。どうかお願いします。」

事情を話してお願いすると、「今回だけ」と受けてくれたが、その後、残念な知らせとともに帰ってきた。

「かなり深い眠りにつかれているようで、何度体をゆすりましたが、まったく起きる気配がありませんでした。さすがにあれ以上は・・・。」

「わかりました。ありがとうございます。」

オーロラは、約2時間半にわたり、大きくなったり小さくなったり、時々波を打ちながら、空で舞い続けた。それも翼の両翼でだ。わずかな時間でも、その方が目を覚まして窓の外を見ることを願った。

 

ヘルシンキに到着した。「まさか機内からあんなオーロラを見られるなんて」とご満悦な5人の先を僕は足早に進み、先に降機してお待ちになっているビジネスクラスのお客さんのところへ急いだ。

「おはようございます。オーロラは出たのですか?」

僕に対するその問いかけは、明らかに見ていないものだった。

「はい。けっこう大きいのが出ました。CAさんに、お客様を起こすよう頼んだのですが、ぐっすりお休みになって起きなかったと・・・。長い時間出ていたけど、ご覧になれなかったのですか?」

「見なかったです。あー・・・確かにぐっすり寝ていました。2回目の機内食も食べなかったもの。仕事で疲れていたしなあ・・・。」

がっかりされている様子を見ながら思った。

「うまくいかないものだな・・・。」
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オーロラのツアーが割り当てられた時は、いつも憂鬱な気分になる。

きれいなパンフレットを見て、美しいオーロラを見られる前提でツアーに申し込む一般客と違い、見られなかった最悪のことを考えてしまうのは、添乗員の性だろう。自然現象だけに、自分の力ではどうにもできないもどかしさもある。

僕は、これまでオーロラ見学ツアーを8回案内しており、すべてのツアーでそれなりのものを見られている。これまで運はいいほうだった。

だからこそ、「そろそろ見られないツアーに当たるのではないか・・・」という恐怖感のようなものがある。

時々、「オーロラを見られなかった」と、残念そうに報告してくる添乗員仲間を見ると、「次は自分の番だ」と本気で思う。

その嫌な予感というか心配事が的中するかのように、出発前のフィンランドの天気予報は最悪だった。宿泊地のレヴィには四泊もするのに、太陽マークがひとつもない最悪の予報。極北の天気予報は目まぐるしく変わるので、一喜一憂するのは禁物なのだが、それにしても、快晴どころかはっきり太陽が出る日がないというのは・・・。

出発の遥か前から、なんとかお客さんのストレスを和らげる方法はないものか考え始めていた。敵は天気という大自然だから考えるも何もないのだが、それでも考えてしまった。

そんな時、取引先旅行会社のイベントで、尊敬する先輩添乗員の愚痴を聞いた。

「かわいくないお客さんがいてさ。俺が一生懸命みなさんを励ましているのに、横から邪魔するんだよ。オーロラアプリとかスマホに入れていて、わざわざ見せてくるんだ。『もう出ませんよ』とか言って、一人でスタスタ部屋に帰りやがって・・・。」

他にもせっかくした案内やおすすめに対して冷ややかな反応だったようで、一言で言うと、全く合わなかったらしい。そんな愚痴を言うなど、ふだんならありえない方なのだが、誠意をこめた案内を無下にされて虚しく悲しかったのだろう。同じ添乗員として同情した。

ただし、僕が話の中で興味を持ったのは、別の部分だった。

「オーロラアプリ?そんなのあるんですか?」

「あるみたいだよ。よくわからないけど。」

先輩は、添乗員としては、天才を通り越して神様のような存在だが、文明の利器に関してはからっきしだと言っていたことがある。

「そのお客さんが、部屋に戻った後にオーロラは?」

「出なかった。」

僕は、イベントが終わって帰宅する地下鉄に乗りながら、アプリをチェックした。

「おー・・・。こんなにあるのか。」

パッと調べただけで五つくらいは出てきた。それぞれの特徴を見ながら、一番使いやすそうなものを選んだ。

https://northernlights.online

その中から、一番使いやすそうなものをインストールした。(上のURLからできるので必要な方はぜひ。有料パターンもありますが無料で十分です)

これを入れると、世界のどこでオーロラが見やすいか分かるようになっている。

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黒い部分でオーロラが発生する可能性があり、緑の部分になると発生率が30%に上がる。さらに高くなるとオレンジ色になり、赤くなるとかなり高い確率でオーロラが見られるとのことだ。

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それだけでなく、雲そのあたりの雲の状態も知ることができて、

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雲とオーロラの発生状況を同画面で重ねて見られる。

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別の予報画面では、直近時間のオーロラを見られる確率や雲がどれくらい空を覆うかもチェックできる。もし、このアプリの予報が機能すれば・・・

「ひょっとして僕はオーロラの預言者になれるかもしれない」

と、本気で思ってしまった。

冗談はともかく、貴重なアイテムを手に入れたと。今回の滞在地ヴィレは、きれいなオーロラを見られる場所ではあるが、観察条件は必ずしも良くない。ホテル周辺にはスキー場があり、照明が雪を照らして明るい。

光を避けるには、近くの湖や林道まで歩いていかなければならない。さらに、ポイントを決めたらそこで待ち続けるしかない。休憩所はおろかトイレさえない。どんなに防寒を工夫していても、-15℃くらいの冷たい空気を呼吸し続けるのは、慣れていないとつらい。マスクをしていても、水滴がびっしょり内側を濡らして不快だ。人にもよるが、堪えられるのはせいぜい2時間少々。

だが、このアプリを使って、比較的条件が良さそうな時に出かけて、逐一情報を提供すれば、悪い条件の中でもお客さんのストレスを押さえることができるかもしれない。

「とりあえず『最悪の中での最良対策』は、これでよし。」

僕は一息ついた。

「頻繁にオーロラツアーに行っている添乗員にとっては、当たり前のアプリなんだろうな。」

この仕事。時と場合によっては、持っている情報の量はともかく、質は経験に関係ない時がある。オーロラは、比較的若手が行くことが多い。自分が若手に勝っているとは思わず、教えを乞えばもっと早く対策を考えられたかもしれない。

それにしても便利になったものだ。僕が最後にオーロラツアーに行ったのは、10年ほど前。その時は、まだこんなアプリはなかった。

そして、打合せの日。僕は、さらなる良い情報を手に入れた。

「え?お客さんは6人だけ?」

「はい。この出発日だけ売れていなくて。残念ながらこの少人数なんです。」

残念ではない。少人数であれば、よりツアーに工夫ができる。少なくとも、僕はもうひとつ出発前にできる対策を思い付いていた。
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