この前のコールセンターは、珍しく忙しかった。四回目の接種券を受け取ってのんびりされていた年配の方々が、急に始動されたようだ。三回目接種の予約ほどの盛況ぶりではないが、コールセンターのスタッフ数も削減されたので、一人当たりの仕事量はかなりのものだった。

ふだんは、電話を取らないで、スーパーバイザーばりに偉そうにしている僕が、何度も電話を取ったくらいだ。

 

その中に一人、印象に残った八十代前半の女性の方がいた。接種券が届いたばかりだという方は、A会場での接種を希望された。一通り、空いている枠の日にちと時間帯を案内した後、

A会場では、モデルナをご用意しております。」

と、付け加えた。同会場は、三回目接種までは、ずっとファイザーの接種会場だった。その自治体では、街の中心部にあり、一般の医療施設よりも知名度が高いため、圧倒的に人気がある。取り扱いワクチンがファイザーだから、余計に予約が集中した。

だから、今回の取り扱いワクチンが、人気のないモデルナであることを念押しする必要があった。ただし、「モデルナでよろしいですか?」と言ってはいけない。「モデルナをご用意しております。」というのがミソだ。モデルナを悪者にするような発言をしてはいけない。

 

さて、そのご婦人だが、「A会場はモデルナなの・・・?」と、少し考え始めた。ファイザーの会場を希望されるパターンだ。しかし、彼女は明るく言った。

「決めた。私、熱出すわ。」

「熱を出す?」

「ええ。モデルナって、副反応で熱が出るんでしょう?受けたお友達は、みんな大変だったと言っています。」

「はい。・・・それで、モデルナをご希望ですか?」

なんだか話が繋がっていなような気がしたので、確認した。

「はい。私ね、今まではファイザーをずっと打ってきて、今まではなんともなくてね。おかげで、全然効いている気がしないの。だから、今度は熱出します。モデルナでお願い。」

「はい、それはそれでいですが・・・ただ、発熱イコール抗体の数ではないようです。気にされているなら、きちんと抗体検査を受けられたほうが・・・」

「そこまでやる気もないのよ!」

ご婦人は、声を高らかに笑いながら言った。もし、僕が彼女と友達同士であれば、

「じゃ、どこまでやる気なんですか?」

と、言いたいところだが、コールセンターのスタッフとしては、さすがに言えない。「左様でございますか」がせいぜい。

「気休めよ、気休め。」

とお気楽なことを仰る市民と一緒に笑いながら接種予約を終えた。

常に不足しているワクチンを、血眼になりながら、大勢の人たちで取り合う時代は終わった。もはや懐かしいとさえ思う。こんな予約のしかたは、三回目接種まではなかった。

この方、モデルナ接種後に発熱したら、「報告してあげる」くらいのノリだった。

もし、本当にかかってきたら、僕が対応しようと思う。


ちなみに医師と話して、「どのワクチンを打っても問題ないと思います」とは言われているとのことだ。


※モデルナ接種が、必ず発熱を伴うということではありません。今回のお話は、あくまで個人の見解です。
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