2006年の11月にイランの仕事をいただいたあと、次に訪問する機会を得たのは、2018-2019をまたぐ年末年始でした。せっかくだから、その時のイランの話も少しだけ紹介します。

 

遺跡は全て、修復や一部復元が進み、より見やすくなっていました。特にペルセポリスでは、バーチャル体験スコープ(っていうのかな。ネーミングは適当)が有料で貸し出されており、遺跡の中でそれを覗きながら歩くと、古代当時のペルセポリスを歩けるようになっておりました。この時は、人数が少なかったので、人数分借りてお客様にサービスしましたが、なかなか好評でしたね。

 

いろいろ技術的なものが進んだとはいえ、観光の楽しさは、今も昔も変わりません。

 

自分が一番感じたのは、案内してくれるガイドによって、こうも印象が変わってしまうものなのか、ということです。例えば、

 

「核兵器の研究所?そりゃあるでしょう。2006年?その頃だと、ないって信じてる人もいたかもしれませんね。でも、僕はあると思ってました。」

 

「お酒?イスラム教徒だから飲みません。」

 

「本当に?」

 

「・・・・・・(ニヤリ)( ̄▽ ̄)

 

このツアーは6人と少なく、その中にイランに駐在している方が現地参加していました。また、その方の家族も日本から参加されており、それを知ったガイドさんは、いろいろ現地事情を話しやすくなったようです。

 

「お酒は、闇で手に入れることができます。みんなけっこう飲んでますよ。ただし、闇ならなんでもいいと言うわけではありません。お酒を水で薄めて、アルコールが少なくなった分を、メチルアルコールを足してるところもあるのです。それが原因で失明した人がいて、問題になったこともあります。」

 

駐在されてる方が頷いています。

 

「闇にもいろいろあるのです。『きちんとした闇』で手に入れないとだめなのです。」

 

「きちんとした闇」が、あまりに言い得て妙なので笑ってしまいました。ま、こういう人もいるということでしょう。彼も、「基本的に大半の方は飲まない」と言ってました。シャーさんに比べて、この時のガイドさんは、「ちょい悪親父系」だったのです。

 

二人の共通点は、日本に住んで働いた経験があること。そのため、教科書言語でなく生きた日本語を話したこと。そして二人ともかなりの日本贔屓でした。あ、若い人たち、特に女性のファッションが戒律を破るものが多くなっているのを嘆くのも同じでしたね。

 

「日本は、経済的だけでなく、政治的にも優れていると思いました。日本人が、『日本政府はアメリカ政府の言いなりだ』と言ってたけど、全然そんなことないですよ。そう見せかけてるだけですよ。仕方ないところは譲ってるかもしれないけど、日本人の生活は豊かです。アメリカに奪われていません。」

 

ここまでは、二人とも一緒。そこからあとは2018年のガイドさんのほうが、国の状況が深刻なだけあって、自国の政府に対して辛辣でした。

 

「今のイラン政府は馬鹿だ。アメリカに逆らい続けて、その結果制裁を受けて、国が大変なことになっている。喧嘩して敵いっこないのに。イラクだって恐ろしいことになってしまったのに。国と民族の誇りなんて、なにかを相手に譲ったって持ち続けることはできます。まずは生きないと。それを実行してる日本は素晴らしい。アメリカで戦争に負けて悔しかったと思うけど、そのあとは、アメリカにいっぱい勝ってるよ。本当にそう思います。」

 

さすがにこの持論をお客様の前では言えない。個人的に僕に話しただけだ。でも、ブログなどには「こう考えてるイラン人もいる」ということで、記載してかまわないということなので、載せました。ま、こんな見方をしてる人もいらっしゃるのか、ということで。
 

僕の、イランに対する知識は、彼のおかげでずいぶんと幅が出ました。順番的にも、最初がシャーさんで、次が彼というのがよかったと思います。

 

この話を含めて、今後のイラン旅行の参考にしていただきたいと思います。あ、お酒はくれぐれも持ち込まないように。観光客には厳しいです。

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こいつを借りて見学すれば。ペルセポリスの観光は、さらに楽しくなります。