GO TO トラベルキャンペーン」は、今でこそ愚策の代表として叩かれまくっているが、世の中で認知された頃は、一部で「時期尚早なのでは?」と言われながらも、ある程度は好意的に受け取られていたと思う。

 

収束、或いは収束に限りなく近い状態が条件ではあったが、一時的に、それにかなり近づいた雰囲気が世間に溢れていた。旅行を楽しみにしている人間の中には、旅が、いつも通りの生活の象徴であるかのようなイメージを持ってる者もいるだろう。特に、夏を迎えようとしているこの時期は。

 

正直に言えば、僕の仕事場は同じ旅行業でも、海外部門だからあまり関係ない。だが、取引先の多くは、海外だけでなく国内旅行も手掛けている。売り上げを上げて、生き残って欲しい。そうでないと、僕らの帰る場所がない。仕事場がない。我ながら小物感たっぷりだが、これが今の自分の現実でもある。

 

そう思いながら、無事にキャンペーンが推進されることを祈った。

 

派遣会社の中には、ふだん海外添乗をしている人たち向けに、国内添乗の案内をできるようにと、希望者を対象に、大型バス一台を貸切った研修が行ったところもある(もちろん感染対策は万全に)。

 

まだ前向きだ。

 

だが、しばらくは首都圏だけにおさまっていた新規感染者数が、全国に広がっていく。おそらく、誰もが想像した通りに。

 

今まで、感じてはいたが見えていないフリをしていた大きな影が、旅行業界のかすかな希望を飲み込もうとしている。もう見えないフリはできない。

 

非難轟々なのは分かっている。でも、キャンペーンまでたどり着いてほしい。感染者よ、増えないでくれ。時間よ、早く過ぎろ。キャンペーンよ、逃げ切ってくれ。

 

そして、「GO TO トラベルキャンペーン」は、逃げ切った。前倒しというトリッキーな形で。問題視され始めていたキャンペーンへの非難は、火に油を注ぐかのごとく、さらに激しいものとなっていった。

 

どのメディアを見ても、肯定的なものは何もない。そのうえ、東京発着除外という条件まで出されたキャンペーンへの非難は、もはや手が付けられないものとなっていく。

でも、それでも・・・。


===============
IMG_8205
お台場にある五輪。もし、無事に開催されていたら、飲食業界も旅行業界も、今とは真逆の状態だったはずなのに・・・。