昨晩、三度目の国内添乗から帰着した。ツアーそのものはわりと順調で、天気に恵まれて観光は楽しめた。

 

でも、コロナ禍の中ならではのシーンはあるものだ。

例えば食事。今回は、一人参加の方が29名の参加者の中で一人だけいらした。この時期だから、グループで食事をするときも相席はない。お部屋が一緒の方々同士が同じテーブルになるだけで、各テーブル同士は、十分に距離をとっている。所謂宴会のようにはならない。同じテーブルの中でさえしっかりと距離をとっているくらいだから、一人参加の方は、いつも一人で食事をすることになる。

レストランの対応も、こちらからリクエストを出さなければ、一人席は、いつも末席だ。途中で「いつも端っこに一人で置かれている」と仰っているのが聞こえたような気がしたので(確信はない)、そこから配慮したが、末席から中央にテーブルを移しても一人という状況は変わらない。だからと言って、「一緒に食べましょう。」と、添乗員が、声をかけて同席できないのが、コロナ禍の旅行だ。

 

国内ツアーでは、夕食会場に添乗員は行かず、お客様のケアを宿泊施設側にまかせるのが普通らしい。国内添乗研修でも、そう教わった。海外添乗では、絶対に添乗員が食事のケアをする。その習慣もあったし、一人参加の方をを含めテーブル割も気になったので、つい行ってしまった。日光のホテルでのことだ。

すると、添乗員がたくさんいた。「あれ?」と思いながら、スタッフ用の食事部屋で言葉を交わしてみると、全員、コロナ禍前までは海外添乗のみを生業としていた人々だった。

 

「テーブル割が、きちんとリクエスト通りになってるかどうしても気になっちゃって。あとは習慣かな。」

 

みんな考えてることは同じだった。

ホテルのスタッフからは、とてもありがたがられた。

「普段は、添乗員の方々にはお休みいただいてるのですが、今は人が足りなくて・・・。コロナ禍で一度辞めてもらった人たちに声をかけているのですが、戻って来てくれないのです。」

僕のグループは29人。今回は二台口で、もう一台のバスは30人。合計59人をたった5人で対応していた。15分置きくらいに入ってくる複数のグループを、あとの3人を含めて、たったの8人でまわしているのだ。宴会場のように、お客様が詰めて座っているわけではない。家族ごとにテーブルが置かれて、けっこうな距離をおいている。大変だったと思う。

「だから、席の誘導だけでも手伝っていただいて、本当に助かりました。」

どこのホテルもレストランも、さほど状況は変わらない。あるホテルの夕食は、ビュッフェ形式だったのだが、スタッフが足らず、飲み物の注文がまったく追いついていなかった。

スタッフが少ないまま、いきなり繁忙期がやってきてしまったから、当初は、作業がまったく追いつかなかったそうだ。ホテルに着いたのに部屋ができておらず、1時間もお待たせしてしまったホテルや旅館もあったという。

「もうそんなことはありませんけどね。この人数でどうにか回せるようにはなりました。」

 

たまたま感じる不便さの理由については、時々、その場やバスの中で説明すると、だいたいお客様は納得してくださり、助かった。今は、コロナ禍という「通常でない時」であることを悟った僕は、夕食会場の入りの時間だけは、顔を出すようにした。やることは誘導の手伝いくらいのものだたが、「私たちにおまかせくださればけっこうですよ。」とは、一度も言われず、すべて「人出が少ないので助かります」と言われた。(たまたま今回がそういう状況だったのだろうか)

 

それでも楽しく続く旅の中、ニュースで感染者急増の報道がメディアで次々流れた。

国内、海外の違いはあるが、海外の仕事を失う直前もそうだった。たった10日間の添乗中に、劇的に感染者が増えて、帰国した途端に仕事がなくなった今年の3月時と状況がよく似ており、ちょっと嫌な気分になった。

 

今回は、九州からのお客様を羽田でお迎えして、帰りも羽田でお見送り。GOTOキャンペーンで、いろいろ騒がれて、一見旅行ブームに見える。でも、羽田のモニターには欠航便が目立つ。最近の報道のこともあり、さらに、まだまだコロナ禍であることを実感する。

 

帰りに事情があって、国際線ターミナルに立ち寄った。寂しいものだった。去年の今頃はクリスマスデコレーションが始まっていたのに、そんなものはまったくない。夜の7時過ぎ。ひと気のない、白っぽい空間は、ただ白いライトに照らさされているだけだった。人は、ポツリとしかいない。航空会社のカウンターによっては、ベニヤ板のようなもので、完全に覆われているところもあった。モニターには、たくさんの便名が表示されていたが、ほぼすべて欠航。経済が、かろうじて動いていても、まだまだまだまだコロナ禍なのだ。

 

欧州で、次々に実施されるロックダウン。海外はまだまだ遠い。・・・というか、本当に行ける日が来るのだろうか。心の中に、本当に疲れてきた自分がいる。それを支えているもう一人の自分を、今は実感できていることが、せめてもの救いだ。
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閑散とする羽田の夜の羽田空港国際線ターミナル。モニターには、一応予定便名が表示されているが、ほぼすべて欠航。この状況がいつまで続くのかと思うと、少し涙が出てきた。少しね。

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