ドイツに住んでいる知り合いのお話。会話の大半は、LINEでのやりとり。

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白ワインビネガー。お酢だ。動画の一部を切り取った。

このあと、これが、ショート・カクテル・グラスに注がれて、ぐっと飲みほされた。飲みほした人は、一瞬、むせたような顔をしたが、その後は平然としている。

「一瞬だけ酸っぱかったが、すぐに味が消えた。」

冗談のような、でも、衝撃的な映像だった。酢の一気飲みだ。

 

倦怠感を伴う頭痛から始まった症状は、やがて発熱を伴った。37.5℃くらいまで上がった後、それは一日で下がり、咳はほとんど出なかった。

だが、ちょっと歩いただけでも、すぐに息切れした。一生懸命自転車をこいでも、次々に抜かされていった。

「それだけ聞くと、ちょっと重い風邪のように聞こえるけど。」

と、いう僕の突っ込みには、

「いえ、軽い風邪のようでした()

と、軽く答えた。

やがて、すべての症状が落ち着いてきたと思ったある日、彼氏の家で気づく。いつも臭い彼氏のシャツが臭わない。「あれ?」と思った彼女は、聞いてみた。

「ねえ、このあなたのシャツ、臭わないよね?」

自分のシャツの臭いを嗅いだ彼氏は、

「うおっ!なんだよこれ、すげーくせーよ!」

と言って、バスケットに投げ入れた。

その時、彼女は味覚嗅覚の異常に気付き、酢を試したところ、飲めてしまったというわけだ。

国が管理している簡易検査では、彼氏の濃厚接触者にコロナ患者がいることで、会場への立ち入りを断られてしまった。口頭での質問だったから、「特になにも正直に言わなければ、そのまま国の検査を受けられたのに。」と、少し呆れている彼女。

その後、民間の簡易検査を受けて陽性。本格的なPCRを受けて陽性だった。

「そのまま国管理のところでPCRを受けたら無料だったのに、民間だから90ユーロ(約12,000円)もかかった!」

ちょっと悔しそうに、でも、コミカルに話してくれる彼女。

「面白い経験をしましたよ。コーヒーが水!液体はなにもかも水!」

彼女は、僕が気を遣わないように、敢えてコミカルな表現で、いろいろ教えてくれていたのかもしれない。

このやり取りは、感染後に、彼女が命じられた2週間の自宅待機時のものだ。

僅かに、味覚が戻っており、甘さ、辛さ、しょっぱさはかろうじて感じる。しかし、匂いはほとんど感じない。料理をしている時に、時々感じる程度。不思議なことに、体臭は、この頃はまだ感じなかったそうだ。

深刻そうに物を言わない彼女の言葉に、僕の中では、病人としての彼女への気遣いよりも、好奇心が勝ってしまった。かなり無神経なことを言った。

「大変だな。前、学校の先生に聞いたことがあるよ。味覚と嗅覚は、本来楽しむためのものではなく、生きるためだって。それらを失ったら、毒を盛られても、腐ったものを食べても分からないと。気を付けてね。」

「そうですね。気を付けます。」

 

さて、どうしたものか。ブログに書きたいと言ったら快諾してくれたものの、症状が快復していないと、なにかと書きにくい。どう構成するか悩んでいると、三日後にラインが来た。

 

「今、簡易検査をしてきました。正式なPCRではないけれど陰性でした。」

ホッとした。

「臭いも感じるようになってきました。久しぶりに食べた日本食のカツ丼が、美味しいって思えました。」

しばらく、美味しく食事をとっていなかった様子を伺える。この前は、味覚がわずかにあるとのことだったが、今は、嗅覚のほうが回復が早くなってきているとのことだ。

「一日一日少しずつよくなってきている気がします。」

無事に回復し始めてからのLINEのほうが、コメントの内容が慎重で生々しい。

 

「私たちは、無事に回復しているけれど、味覚嗅覚が戻らない人はたくさんいます。半年以上も戻らない人がいる。ドクターから『そこまでくると、もう一生戻らない可能性がある』と言われている人もいます。回復状況は、人によって全然違う。」

「入院は、呼吸困難など、本当の重症者しか許されません。」

「ヨーロッパでは、各国が対応しているけど、ドイツは、全てにおいて遅いと思う。」

 

僕が、自分のまわりでは、初めての感染者だと言ったら驚いていた。

「え?こっちにはいっぱいいますよ。」

コロナに慣れているような発言をしているように聞こえることがあるが、それは否定する。

「慣れてはいません。」

ただし、怖いと言っている一方で、油断していたことは認めている。

感染した経緯に心当たりはある(話してくれたが、ここには書かない)。でも、こんな簡単にうつされるとは思わなかった。

「多くの人がマスクなしで、ふつうに公園などで会話している。自分が感染する前は、それを見ても、自分が感染するはずがないと思っていました。でも、今はマスクなしで外を歩くのが怖い。」

マスクは、「日本人の習慣」なのではなく、「日本国内での習慣」ということが、よく分かる。

 

もはや、あちこちで感染にまつわる話は出ていて、それほど珍しくはないことではあるけど、実際に経験者の生の声を聞けたのは初めてなので、「コロナの記録と記憶」として、ここに書きとめておこう。


追記:本人から申し出があり、体重は2キロ落ちたそうだ。なお、今ではビールが美味しく飲めるとのこと。よかった、よかった。


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