いつの間にか、コロナ禍の中で二度目の誕生日を迎えてしまっていた。2020年3月2日に南アから帰国して1年と3か月。
いつも前向きでいようと努力はしているものの、コロナ禍のような時に、誕生日といった節目を迎えると、その間に失ったものが、急に頭に浮かんでくるから不思議だ。
収入は、そこには含まれない。常日頃から感じているから、急にそれを意識する状態には、いまさらならない。
今、一番意識しているのは、ここ一年以上、本業におけるキャリアの積み重ねができていないということだ。いわゆるブランクだが、添乗員というのは、現場では一人で業務を行う仕事で、「えーと、これなんだっけ?」などと人に聞くことはできないから、正直、そこは不安だ。
コロナ禍は、まだしばらく続く。僕のブランクは、おそらく2年以上に及ぶ。最後に添乗に出た時と比べて、僕の体はどれくらい変わっているだろう。あの時は、難なくこなせた時差の中での体調管理はできるだろうか?英語は、きちんと出てくるだろうか?あの時までは、バスの中でスラスラ話せていた現地事情や歴史の話は、すぐに同じようにできるのだろうか?
時々考えると怖い。その中で、取り戻せるものを考える。英語は取り戻せるだろう(どうせ元々大したことないし)。知識もトークも、勘が戻ればなんとかなる。きっとツアーが決まった時点で意識が変われば、ある程度、最初からなんとかできる。
どうにもならないのが、体力面だ。年齢が上がっていくほど落ちていく体力は、どうにもしようがない。ずっと現場に出られていれば、少しずつの変化だから、自覚しながら対応できるが、ここまでブランクが長くなってしまったら、以前と同じツアーの仕事をしていても、「え?僕はここまで時差に弱かったっけ?」とか「あれ?昨日の疲れが思ったよりも取れていない」という精神的なショックを経験することになるのだろう。
そして、海外に出られなかった二年間(二年と決まっているわけではないが)という事実は、絶対に取り戻すことはできない。キャリアを積み重ねる機会を逃したという点だけでいうと、とても重い二年間だ。
今、この時点で考える海外旅行業界が暗い。働いている人たちを個人的に見ても、業界全体を見ても。若い人が、入りたいと言ったら絶対に止める。今の状態では、大切な若い時期に一切のキャリアを積めないことになる。
しかし、考えてみる。このコロナ禍ほどではないが、平和産業である旅行業界には、以前からピンチがたくさんあった。その際に、多くの痛手を負い、人材が去りつつも、業界は栄えた。
僕も、今のところは生きている。
続きは次回。
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コメント
コメント一覧 (2)
ツートンさんがそんなことおっしゃったら、私はどうしたらよいのかと思っちゃいます。
アラフィフ、国内添乗歴1年半ちょっと(そのうち1年はコロナで自宅待機、子育てで国内添乗員デビューが遅かったので)、基礎疾患もち、英語できない、国内添乗前日は毎回不安で眠れない…
こんな不安しかない私ですが、所属会社の所長からも頑張れと言われて、私も夢を追いかけて、毎日英会話とギリシャ神話(ツートンさんにアドバイスいただき)の勉強をしております。
特に海外の知識の下地もなく、なんの根拠もないですが、コロナ収束後は海外添乗員になれるはず、と思ってます。
ツートンさんみたいなベテランさんに不安になられたら私は…と思う反面、でも、ツートンさんが不安に駆られる気持ちはよくわかります。
後編を楽しみにしています!
マスター・ツートン
がしました