ワクチンコールセンターでも、だんだんと、気さくに仲間同士で言葉を交わすようになった。年齢も、本来の職業も異なる仲間たち。接種予約が取れずに、イライラしている人たちを相手に、タフな仕事をしている。添乗員を含めて、接客を生業としている人が多い。

ある程度仲良くなって、「たまにはみんなで食事でも」といきたいところだが、こんな時期だからそうもいかない。

考えてみると、不思議でやるせない関係だ。仲良くなっても、軽く飲みにいくことさえできない。ランチでさえ、対面でとることもない。これから、個別に仲良くなったとしても、そういう状態が続く。

そういうことが気軽にできるようになっている時には、きっとコールセンターは解散している。

だからと言って、このコロナ禍がなかったら、この人たちと出会うことさえなかった。

やるせないけど、いい出会いではあった。そして、まだまだ付き合いは続きそうだ。

 

かわいがっていた、かつての派遣元の後輩は、花屋さんで社員として働いている。支援金などの政策が施行されることを待たずに、この業界を去った。すぐに添乗の現場が戻ってくれば、なんとか引き戻そうとしていたけれど、ここまでコロナ禍が長引いてしまった今となっては、難しそうだ。彼女も、今の安定した職場に残ることを選ぶだろう。いや、選ぶ以前に定着しているか。「元々アルバイトで働いていたが、楽しく仕事をできていた」と言っていたし。

添乗員としては、かなりの才能を持っていたから残念なのだが、今となっては、そんな僕の思いも完全な独り相撲なんだろうな。

 

一緒に頑張っていたある同僚は、昨年の今ごろは、「絶対に添乗の仕事に戻しましょう!」と、僕とLINEでやりとりしていたが、最近、結婚が決まって引退を決意したようだ。「引っ越す前に、新居に入りきらないであろう、添乗の資料をもらって欲しい」とメッセージをもらった。かなり貴重な資料があったので、遠慮なくいただいたが、一番狙っていたギリシャ神話の本だけは「手離さない」と、きっぱり断られてしまった()

膨大な書籍。本棚の写真が送られたきた時は、感動するくらいの質と量だった。添乗という仕事への愛を感じるそれだった。あれだけの資料の大半を手離すというのだから、相当堅い決心の裏に、かなりの寂しさを感じたことだろう。

「一番大切に資料を使ってくれるだろうなツートンさんに声をかけました。」

という言葉を裏切らないように、大切に使うことを誓った。そして、同僚の幸せを心から祈った。


彼女たちの新しい仕事や結婚は、コロナ禍だからこそ決まったものかもしれない。

コロナで止まってしまった添乗員の時間。再開の目処が立たない中で、全体的にひどい状態が続く中で、ひとつひとつ見ていくと、思ったよりもマシなことってけっこうある。


さて、今日も電話をとろう。

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