昨日開催された、スペインのオンラインイベントの準備で、お客さんにネットで見せる写真を整理しながら、自分の感覚の変化に気付いた。ひょっとしたら、以前にも近いことを書いたかもしれないが、

「あれ?この風景、こんなにきれいだったっけ?」

と、急に感じてしまった。お客さんを案内しながら、自分も撮った写真の数々。きれいに撮れたものだけを、厳選して残している。

「おかしいな。こんなにきれいに撮れたのが、あったかな・・・」

と、自分に対してとぼけながら、実は理由は分かっていた。海外に出なくなって14か月。気取った言い方をすると、以前は日常だった外国の風景が、自分にとって非日常の夢の世界になってしまったのだ。

これまで、このブログに掲載した写真も同様だ。以前は、こんなにきれいには見えなかった。

このオンラインでの仕事は、お客さんたちとの対話。実際に、画面上で会話する。

「お客さんと同じ目線で観光地を見られるようになったという意味では、いいかもしれないな。」

自分に言い聞かせながら、作業を進めた。

 

一方で、あっと言う間に過ぎてしまった、14か月ではあるが、「外国は非日常」という感覚になるまでに、これほどの時間を要した自分に、我慢強さ、甘さ、能天気さのすべてを感じて、感心しながら呆れていた。どちらかというと、呆れのほうが大きいかな。

 

イベントは、それなりに盛り上がった。実は、海外旅行をする人ってそれほど多くないから、他人とそれについて語り合う機会は、参加された方々にとって、こちらが思っている以上に大切なのかもしれない。

 

ゲストに、マドリッドで働く現地スタッフもいて、スペインの観光事情について、いろいろ教えてくれた。

「屋外でのマスクの規制は、ずいぶんと緩和されました。マスク嫌いのスペイン人だから、誰も着けなくなると思ったけど、そうでもなかったですね。地元の方にも、まだ怖がっている人はいるようです。(ちなみに以前のスペインでは、未着用の罰金が900ユーロになったこともあった)

私は、花粉症で、春先はいつもマスクをしていたんです。以前は、怪訝な顔で見られていましたが、今はそういうことはありません。

外国人観光客は、増えてきていますよ。アメリカ、フランス、そのほかのヨーロッパの言語も、マドリッドの観光地では飛び交ってします。ただ、アジア系の方々は、まだ見かけませんね。

日本からいらっしゃる場合、直行便で来てくだされば、以前のように、何もなしに入国していただけます。

ただ、EUの他国を経由してきますと、同じEUでもその国のルールが適用されます。例えばドイツ経由となると、ワクチン証明書やコロナの陰性証明書が必要になってしまいます。

条件が整えば、スペインは、日本人に対して受け入れ態勢はできています。私たちは、みなさんが来るのが待ち遠しいです。」

ただ渡航するということだけを考えれば、日本帰国時の二週間の隔離だけが問題だ。結果的には、そんな話だった。

それが解けるまでが大変なのだろうが、この理屈だけで考えれば、外国は、日ごろ日本人が考えているよりも近い。しつこいが、理屈だけで考えればの話だ。

画面の向こうのお客さんの反応は複雑だ。

「ワクチンを打たないとだめなのか?」

「そんなに簡単に外国からの入国を緩和してしまって、スペインは大丈夫なのか?」

「二週間隔離は、旅行するためには歓迎だが、今も含めて、早く解いてしまうのは怖い。」

はっきりそう言いはしないが、ある一部の方々の言葉には、そういうニュアンスが見え隠れした。

 

もはや海外旅行再開のハードルは、各国制度の緩和だけではない。長引くコロナ禍は、一部の人たちに「外国への警戒心」というハードルを作り出しつつある。

再開後、業界の盛り上がりは期待できる。しかし、最初は、みなさん慎重で様子を見る方が多く、売り上げもチビチビだろう。そして、チビチビ催行されたツアーの一本一本を成功させることに、命をかけることになるのだろう。それが、かつて僕らが味わった隆盛につながっていく。

業界が、最初のその一歩を踏み出すときに、現場にいたいものだ。

 

まだまだ早い話かもしれないけど。
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せっかくだから、スペインの風景の紹介を少し。ロンダの街にあるヌエボ橋。高さ98mの石の橋。
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この街には、スペイン最古の闘牛場があり、ふだんは見学を受け入れている。スタンドだけでなく、フィールドを歩けるのがポイント。闘牛士気分を、たっぷり味わえる。
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セビリアのスペイン広場。かつての博覧会が行われたときの主要会場
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青空とのコントラストが、誠に美しいミハスの街。
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ラマンチャ地方の風車群。ドン・キホーテゆかりの地としてご案内しているけど、お客の中に読んだことある人って、ほとんどいない。それどころか、若い人の中には、ディスカウントショップとしてのドン・キホーテしか知らない人もいる。
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春先に訪れたサンチャゴ・デ・コンポステラの風景。
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街頭に照らされた街の様子がロマンチックなサンチャゴ・デ・コンポステラ旧市街。

スペインの様子は、またいつか特集したいと思う。

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