結論から言うと、秋月さんは、この旅行会社でブラックリスト扱いになりませんでした。
みなさん驚いたと思いますが、彼女は、この旅行会社では、それまで国内旅行ばかりに参加されていて、まったく問題なかったそうです。今回の騒動を海外旅行担当から国内旅行担当へ報告がされた時は、「そんな問題を起こしそうな気配は、今まで一度もなかった。」と驚かれたとか。
それを考慮したうえで、今回のトラブルの吟味です。
ロビーで激昂しましたが、多少目立っただけで他のお客様へご迷惑をおかけしたわけではない。自分の部屋で自分の持ち物がなくなったことを、他のお客様にお話してはいましたが、すべて出てきたことも話している。そして、スタッフたちには、現地ガイドも含めて、全員に謝罪しており、帰国後も、営業担当者にお詫びの電話があったとか。それにより、十分反省されたとみなされたようです。
もし、その旅行会社に初参加でこのトラブルなら、出入り禁止になったと思いますが、顧客としての実績がものを言った訳ですね。
さすがに海外旅行への参加は、その後、旅行会社も慎重に取り扱ったようで、最初は、理由をつけて丁重にお断りしていたそうですが、国内旅行で、再び何度か実績を積まれてからは、普通に海外旅行ツアーにもご参加いただいてるそうです。
こうなると、添乗員に問題はなかったのか?ということになるのですが、今回は幸いなことに社員が同行して成り行きを見ていたし、僕は僕で、その取引先では順調に実績を重ねていたし、そのため、なにかしら言及されることもなかったと聞いています。。
マカオで、僕と一緒に現場にいた片岡さんや小石川さんは、「それでいいのかなあ」と思われたようですが、結局、「添乗員と秋月さんは相性が悪かった」ということで、片付いてしまったとか。
この手のトラブルとしては珍しく、双方ともに処分なしということになりました。
僕のことは片岡さんと小石川さんが守ってくださり、秋月さんのことは営業担当者が守ったというわけです。
これが、もしドラマなどだったら、最初に「ハケン」が悪者扱いされて、最後はなにかがきっかけで大逆転。と、なりますが、現実は、この手のトラブルでは、旅行会社は添乗員をよく守ってくれます。現場で命をかけて戦っている添乗員を、旅行会社は粗末にしません。かといって、どんな信じられないことをされたお客様でも、その方をただ悪者扱いするわけではなく、これもまたよく吟味されます。旅行の現場は、本当、お客様とよく向き合います。僕が仕事をいただいてる旅行会社は、そんなところばかりです。
今回の秋月さんの件は、それらを一般の皆さんにお見せできるいい例だったと思います。
ブラックリストというものは、確かに存在します。でも、そんな簡単に入るものではありません。
集合時間を守る、暴力を振るわない、やたら怒鳴らない、叫ばない。他のお客様に迷惑をかけない読者のみなさんは、きっと大丈夫。問題ありません。
なにかあっても、きっと天使の添乗員が守ってくれます。
さて、明日からは新しいシリーズが始まります。