マスター・ツートンのちょっと天使な添乗員の話

自称天使の添乗員マスター・ツートンの体験記。旅先の様々な経験、人間模様などを書いていきます。

カテゴリ: 東日本大震災 3.11

http://mastertwotone2020.livedoor.blog/archives/14390127.html

(これまでの登場人物は、こちらでご覧ください。)

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「心配しないでください。絶対後悔しないし戻ってきませんから。」

「いや、とっとと後悔して戻って来い。後悔先に立たずだが、この場合、後悔後に立っても問題なしだ。正社員の復職とは訳が違う。添乗員の派遣登録などあっと言う間だ。すぐに復帰できる。」

礼儀正しく辞める報告をしようとしたのに、匡人には、気持ちよく送り出そうとする様子が全く見えなかった。二人は、居酒屋でビールと枝豆と茄子の浅漬けだけを頼み、それすら全てたいらげずに出てきた。

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「それ本当?巴さんが、あなたにそんなことを言ったの?」

失望とさえ言ってもいいような気持ちを匡人に抱いた杏奈は、やるせない気持ちをぶつけるべく優佳に電話をしてきた。あの時の美しい涙の別れはなんだったのだろう。

「ひどいですよ!頑張れの一言もなしですよ。優佳さんが、巴さんのことを悪く言うのがよく分かりました。」

杏奈が、泣く一歩手前のテンションで訴えているのを聞きながら、優佳は匡人がそんなことを言うなど信じられずにいた。

派遣元での匡人の立ち振る舞いは、かなりはっきりしている。例えば、後輩たちに対してなら、多少能力的に劣っていても頑張っている者には、優しく声をかけて聞かれたらなんでも答える。能力の有無にかかわらず努力が見えない後輩には、びっくりするくらい見向きもしない。能力があって努力している後輩はかわいくて仕方ないようで、自分からなんでも教える。時に迷惑がられるくらいだ。傍から見ていて驚くほど分かりやすい。「この人は、添乗中、複数のお客さんと公平に接しているのだろうか」と心配になるほどだ。

杏奈は、最後の、「能力があって努力するタイプ」だ。おまけに背の高い美人だし、他のどんな若手や後輩よりもかわいがっていた。彼女が辞めることで残念な気持ちは分かる。優佳もそうだ。だが、本当にかわいがっていたなら、別れ際、最後に励ましの言葉くらいは贈って欲しいと思った。

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匡人の冷たく厳しい態度の理由が分かったのは、それから二日後のことだった。

スカイツアーズの打ち合わせに出向いた優佳は、添乗員ルームで匡人を見つけた。この旅行会社の打ち合わせ時、添乗員のデスクは常に指定制だ。だいたい同じ派遣元の添乗員同士でまとめられる。この日、ドルフィンから来た添乗員は四人。優佳と匡人は隣同士だった。ふだんの優佳なら「げ!」と思うが、この日は違った。杏奈とのことを聞くいい機会だと思った。

「お!珍しい。今日はこっちなのか。」

優佳に気付いた匡人が先に声をかけた。優佳が軽く会釈をしてとなりに座った。

「有事ならではのアサインだそうです。私はあっちのほうがいいんですけど。」

「僕にとっては、あっちのツアーに行くほうが、よほど有事だ。」

「こっち」というのは、この場合スカイツアーズのことだ。「あっち」は、ニューワールドを指す。現場では、旅行会社の名前を出さないのがマナーだ。ともに格安系のパッケージツアーを主要商品としている。匡人は、このスカイツアーズと、高額商品のGTS、そして超高額商品のファーストクラストラベルで仕事を回している。

優佳の仕事の大半はニューワールドだ。その中で格安から高額商品まで、いろいろこなしている。稀にスカイツアーズの仕事が入る。

添乗員が働く旅行会社は、営業が決める。細かい行き先が添乗員の思い通りになることはあまりないが、旅行会社は添乗員個人との相性があるので、ある程度願いがかなえられることが多い。

慣れないスカイツアーズのオフィスで、優佳は匡人にいろいろ聞きながら準備を進めた。他のベテラン勢二人も、よくここには来るはずなのだが、匡人の仕事のスピードが断然早い。彼の準備の早さについては、自分も見たことがあったし、他の添乗員からもよく聞く。しかし、これほどだったろうか。

優佳は、舌を巻きながらハッと気づいた。杏奈のことを話さなくては。

「巴さん。今日、準備の後、少し時間を取ってくれませんか?たまにはご飯でも行きましょうよ。話したいことがあるんです。」

「珍しいね。福居が誘ってくれるなんて。」

と、言いながら、匡人は少し不満そうだ。

「嫌なんですか?」ムッとして優佳が尋ねた。

「せっかくだから行きたいよ。でも、夕飯の時間まで待たないとだめなの?僕、もうすぐ終わるんだけど。」

「え?まじ?まだ始まって一時間ちょっとしか経っていないですよ。お客さんへの挨拶電話は?」

「これから始めるけど、二十人のグループで、夫婦が八組だから。一時間もあれば終わるよ。」

「二十人で夫婦八組。一人の方が四人・・・合計十二件の電話を一時間?」

「終わるよ。よほど質問が多い方がいなければね。」

ベテラン二人のうち、四十代後半の男性が呆れた顔で二人のほうを向いた。

「こいつ、本当にやっちまうからなあ。必要最低限のことしか話さないし。あれでいいのかって思うよ。」

「電話なんて、お客さんのほうだって早く切りたいんですよ。暇じゃないんだから。どうしても言わなきゃいけないことを言って、細かいことは、その場その場で案内したほうがいいに決まってます。電話でいろいろ言われたって、なかなか理解できませんよ。それこそ添乗員の自己満足です。」

ベテラン男性添乗員は、顔を真っ赤にして、何か言いたいことがあるのを堪えているかのように作業に戻った。年齢でなく、実力が全てである添乗員の世界を象徴している風景だった。

かつて人間関係に苦労したせいか、他人から自分の仕事への干渉、ことベテラン添乗員からつまらない指摘を受けた時の匡人は容赦がない。意見が対立した時は、寄せ付けないどころか遥か彼方に相手を遠ざけるような物の言い方をするところがある。口調は冷静でも、言葉の端々に突き刺すような何かを感じる。

少々怒っているような匡人の表情を見て優佳は思った。「雰囲気悪くなったし、今日は話さなくてもいいかな・・・。」

今日は自分が気圧されていた。精神的に不利な立場で匡人と話したくない。

「巴さん。私、もう少し時間かかりそうだから、また今度にしましょうか。」

「いや、いいよ。待つ。」

「え?待てないんじゃないんですか?」

「待つのは嫌だけど、今日は待つ。夕飯の時間までかかるならそれまで待つよ。僕も福居と話したかった。たぶん、お互いに同じことを話したいんだと思う。」

「・・・そうかもしれませんね。」

「木崎のことだろう?」

「はい。」

「待つよ。」

「ありがとうございます。」
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-20114月中旬 東京-

ドルフィンを去るにあたって、杏奈は、大半の仲間には電話で知らせた。ふだんはオフィスで会わない添乗員同士のお知らせなどそんなものだ。

しかし、三人だけには実際に会って報告した。一人は同期の元子。そして優佳と匡人だ。一年半の添乗員生活の中で、この三人とは、特に付き合いが深かった。

二人の先輩のうち、優佳は残念がりながら杏奈の決心を尊重した。

「あなたの力があれば、どの業界でもやっていけるよ。」

引き止められなかった自分の無力さを感じながら、精いっぱい前向きな笑顔で送り出そうとしたが、・・・だめだ。涙が出てしまう。

杏奈ももらい泣きだ。初添乗前の研修旅行ツアーでは優佳が講師だった。小柄だがパワフルに動き、優しいが強い言葉でお客さんを導き、きめ細やかなサービスで喜ばせていた。

「添乗員は、英語ではツアーリーダーって言うでしょ?文字通りリーダーなの。だからリーダーシップを発揮しないとお客さんがついてこないんだよ。」

そう言いながら、お手本のようなリーダーシップを見せてくれた。事あるごとにメールでアドバイスをくれた。まだまだ教わりたいことがたくさんあった偉大な先輩であり、師匠だった。

「絶対にやめちゃだめだよ」と言われ続けていたので、この時は、いろいろ厳しいことを言われると思っていたが、様々な思いを堪えるように優しくしてしてくれるから、よけいに切なく涙が出た。
一度も肩をつけない杏奈のカフェラテは、ラテアートのラスカルがそのまま残っていた。

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「すぐに取り消せ。この時期にそんなことで辞めるなんて馬鹿げている。」

予想していなかった匡人のきつい反応に、杏奈は一瞬呼吸が止まるほど驚いた。報告の際、優佳からは厳しい言葉を、匡人からは優しい言葉をかけられると思っていたが、実際は真逆だった。

熱血指導の優佳に比べて、匡人はいつも冷静なアドバイスをくれた。くだらない悩み事を言っても、怒られたことがない。若手の自分の言葉を、いつも吸収してくれた。しかも、会話がウィットに富んでいて実に面白かった。スリムでやや長身の美人である杏奈は、時々男性陣から飲みに誘われたが、二人だけの誘いに応じたのは匡人の時だけだ。そのスマートなエスコートは日本人離れしていて、時々誘われるのが楽しみだった。

この日も、最後の「デート」を楽しみにしていたのだが・・・。

「だいたい居酒屋ってなに?今アルバイトしているところだろ?」

「はい。店長に正社員の登用制度があるからやってみないか誘われました。添乗員みたいに、急に仕事がなくなることもないし、安定していそうだし、いいかなって。」

「添乗員だって、今みたいなことは滅多にないよ。」

「それはそうかもしれないけど・・・」

「本当の理由はなんなんだよ。安定だけ?目先のお金のこともあるんじゃないの?家賃が重くなっちゃったとか。一気に貯金を切り崩すのが怖いとか。」

図星だった。仕事が安定してきて、前職も含めてやっとの思いで貯めた七十万円ほどの貯金が、一気になくなってしまうような気がして怖かった。優佳から、「巴さんは、お金に困ったことがないから、駆け出しの頃の貧乏添乗員の気持ちは分からない」と聞いていたが、そんなことはなかった。

気持ちは分かるかと言われたら、分からないかもしれない。だが、匡人はこの件で優佳に「苦労知らず」呼ばわりされたことで、金銭の話には敏感になっていた。それに家賃は、急な節約を求められた時、突発的に出費を削ることができない唯一のものだ。使用を控えることで、多少コストを抑えられる光熱費とは違う。辞める動機に挙がることは容易に想像できる。

「一気にお金がなくなるのが精神的に負担だったら借りればいい。」

「え?誰から?」

「親に決まっているだろ。」

「そんな・・・実家に帰って来いって言われちゃいますよ。」

「こんな時のための親だろ?事情を話せば貸してくれるって。くださいって言っているわけじゃないんだから。家賃いくらなの?」

「・・・六万八千円です。」

「じゃ、とりあえず三か月分だな。二十万円を親から借りろ。必ず返すからって。それくらい猶予があれば、添乗員の仕事は戻ってくる。木崎なら、添乗が始まれば問題なく返せる金額だ。しかも親なら無利子だぞ。たぶんな。」
尤もげではあるが、匡人にしては、かなり強引な言い方だった。

「ちょっと、なにを勝手に・・・」

「居酒屋の仕事で安定してたとして、お金の心配がなくなった後、その仕事を続けられるのか?二か月で添乗の仕事が戻ってくる保障はないかもしれない。なら、居酒屋のほうはどうなの?正社員の登用制度ってなに?試験はあるの?あるとして、いつから受けられるんだ?確実に正社員にたどり着けるのか?」

「それは・・・」

「調べてないのか?せめて調べてからそこに行けよ。」

厳しい言葉に、杏奈は唇をかんだ。

「きっと続かないけどね。居酒屋の仕事は、添乗員の仕事があって、その合間だから今までは続けられた。それ一本に絞ったら無理だよ。君が続けられる仕事じゃない。」

「なんですかそれ!居酒屋の人に失礼じゃないですか!」

「居酒屋の悪口を言ったんじゃない。君には続けられないって言ったんだ。」

この日の匡人は、今までの優しい先輩である彼とは違った。杏奈は、優佳が「あの人とだけは合わない」というのが、初めて分かったような気がした。
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「成長したね、元子ちゃん。」

愛は、素直に言った。元子は、目上の人間からの指示にはよく従うが、全てにおいて従順なわけではない。一貫していない指示には容赦がなく、平気で上に文句を言う、けっこう怖い若手なのだ。

しかし、この時は、すべての経緯をトータルで冷静にとらえ、自分の中で折り合いをつけていた。今の彼女が、ポルトガルで地震発生の知らせを受けていたなら、理不尽な担当者の指示など待たずにベストな対応をしただろう。

「こいつが添乗に出られないのはもったいないなあ・・・」と、杉戸は思った。

優秀な若手は、トラブル後の適切な助言と指導で飛躍的に伸びることがある。今の元子にはその気配があった。地震から三週間も経っていないのに大したものだ。少しでも早く現場復帰できる方法はないだろうか。

「雪輪は、二か月間くらいしたら添乗に戻れるというのは信じてくれているわけ?」

杉戸が尋ねた。

「え?なんですか、いきなり。」

「さっき、『本当に二か月なんですか?』ってすごまれちゃったけど、あれは木崎の代弁だろ?今の話を聞いていたら、お前は違うのかなあって。」

「納得というか、実際にツアーがないのだから、仕方ありません。こんな状態だから使う添乗員も限定して、自分がそこに入らない基準も言ってもらえたから、そこは納得しています。」

「それはさっき聞いた。だから二か月は?」

「二か月が三か月でも大丈夫ですよ。私はね。」

「え?そうなの?」

「外された基準が分かっているから、ツアーが増えれば仕事が戻ってくるんだろうなとは思えますしね。それが三か月後でも私は大丈夫です。ドルフィンで内勤のお仕事もらえているし、一応少しは貯金あるし・・・」

「自宅だしね。」

愛が入り込むと、元子は彼女と目を合わせた。僅かに間を置いてテンション高く言った。

「そこですよね、結局。両親に感謝!」

「あ・・・そうだよな。そういうことか。」

考えるまでもなかったことに気付き、杉戸は頭を掻いた。。

「そうですよ。杏奈ちゃんは、外れた基準が曖昧だから二か月経っても仕事が戻ってくるか不安なんです。彼女は一人暮らしだから、収入が途切れるって大変ですよ。それでも毎月家賃の支払いはやってくるって悩んでいました。家賃は大きいですよ・・・。」

「うーん・・・」

同じ一人暮らしの優佳は、その苦しさを経験で分かっている。若手の頃は添乗の合間にたくさんのアルバイトをこなしたと聞いたことがある。暇つぶしではなく、生活のためにだ。だから、杏奈に対する旅行会社の扱いを許せなかった。

「でも、ツアーが増えてきた時に、一人暮らしの人から仕事が入るってことはないですよね?」

「それはない。」

愛の問いに、杉戸は即答した。

「そこは完全に実績と実力だよ。まだ潰れていない五月以降のツアーは、だいたいアサインは決まっているんだ。だから雪輪。油断しないで心の準備しておけよ。今のままいけば、君はすぐに仕事が入る。」

「はい。」

真面目な顔で、しかし嬉しそうにこたえた。「よかったねー、私はあなたを信じていたよ」と言いながら愛が元子を抱きしめた。「ありがとうございますー」と愛を受け止めながら元子もじゃれていた。

この二人の出会いは、同じ派遣元の先輩、後輩としてではなかった。元子が初めてアラスカ添乗をしたとき、彼女のグループのガイドとして一緒に仕事をしたのが愛だった。つまり、現場においては、愛が元子を接客する立場とも言えた。そこから仲良くなり、ツアー終盤に同じ派遣元に所属していることが発覚した。

そういう経緯のため、通常の派遣元の先輩と後輩にしては、かなりフランクな関係だった。元子がいろいろ愛に教わるようになってからも、それは変わらない。優佳と杏奈の師匠と弟子のような関係とは対照的だった。

帰り道、杉戸は考えた。多くの添乗員が思っているほど、このトンネルは長くない。すぐに出口は見えてくる。だが、杏奈のように家賃の支払いに苦しんでいる者にとっては、この二か月は窒息するような苦しみなのだ。次々と派遣元を離れていく若手たちを止めることは難しい。

この現象が続けば、短いと思ったトンネルを抜けた時、今度は確実に添乗員が足りなくなる。

海外旅行を取り巻く環境は、良い方向に向かっているはずなのに、業界は逆の方向に向かっているような気がした。

「どうすればいいのだ。」

営業も、社長の本城も、同じ思いを抱えていた。

そして一週間後、杏奈から「添乗員を辞める」と申し出があった。
IMG_0168
知る人ぞ知るポルトガルで売られているタコの缶詰。実はスペイン製品。しかし、実際はスペインよりもポルトガルでよく見かける。少数だが、モロッコのスーパーにも売っている。そのまま食べてもよし。パスタに和えてもよし。プレーンのオイル付け、パプリカ入りのオイル付け、ガーリック風味のオイル付けの三種類ある。
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実は、この時既に両手で数えられないほどの添乗員が、ドルフィンを去っていた。大半が若手だった。

見習い期間から試用期間を経て順調にキャリアを重ね、ようやく安定した仕事量を得られようとしていた者、試用期間中で節制に耐えていたのに、仕事が少ないどころか完全になくなってしまった者。

「二か月耐えられないか?」という言葉に首を横に振りながら、「生活が苦しい」、或いは「生活できない」という歯切れの悪い言葉を残して去って行った。

「生活できない」状態の者を説得することは難しい。全ての添乗員が一斉に仕事を失った状態で、全員を救う事は不可能だから、会社側としては受け入れるしかない。

だが、「信じられない」は傷つく。目をかけてきた杏奈が、それを本当に言っていたとしたらなおさらショックだ。杉戸は、なんとも言えない気分になった。

「あの子がそんなことを言うようには見えないけど・・・本当なの?」

愛が、ミラノ風カツレツを切りかけたままナイフとフォークを置いて問い質すと、元子は水ダコをゆっくり頬張りながら頷いた。

「ふーん・・・。」

愛は、白ワインが入ったグラスを口に運びながら、少し残念そうな顔をしていた。彼女は、自分の居場所としてのドルフィンを、もっとも大切にしているメンバーの一人だ。アラスカと日本を行き来しているため、添乗の仕事ができる期間が限定されているのにも関わらず、安定した仕事を供給してくれるドルフィンには感謝の気持ちしかない。(もちろん、実力あってこその仕事量ではある)

優佳が可愛がっている杏奈とは、地震翌日の成田空港で初めて会ったが、自分も仲良くなれそうだと思っていただけにショックだった。

「感情的になり過ぎているところはあると思うんですけどね。どうしても納得できないみたいです。なにかミスしたわけでも、不手際があったわけでもない。ただのお客さんの印象で、実際に見ていないニューワールドの偉い人たちがそれを鵜呑みにしただけだって。それをなんとかできなかったことに、彼女は腹を立てています。守ってもらえなかったというか・・・」

気持ちは分かる。だが、

「杉戸さんたちが、なにもしなかったと思う?」

「思いません。」

「え?」

元子のこたえが矛盾しているようなしていないような。まだ、ワインはグラスの半分しか飲んでいないから、自分がおかしくなっているはずがないと思いながら、愛は確かめた。

「えーと・・・『なにもしなかったと思う?』という問いに『思いません』ということは・・・」

「なにかしてくれたと思っています。」

元子は、笑いながらこたえて、「紛らわしくてすみません」と付け加えた。

「念の為聞くけど、雪輪は、自分がレギュラーから外されてしまったことは、納得しているのかな?」

「していますよ。だからオフィスで働かせてもらっています。」

杉戸も愛も安心したように頷いた。

「悔しいことは悔しかったですよ。でも、会社からもニューワールドからも、ちゃんとした説明をしていただいて、納得しました。」

雪輪は、ポルトガル添乗中に地震に気付いた後、企画担当の大山に連絡した際、「告知のタイミングは指示するから、すぐにツアー客には知らせないように」と言われた。しかし、当日発着グループの対応に追われた大山は、当日どころか翌日もその指示を忘れてしまった。

本来なら、添乗員側から確認の電話をすべきなのだが、大山は上には従順、下には高圧的で激昂するタイプで、このような時に電話しようものなら「連絡するまで待てと言っただろ!バカ!」というようなことを言い兼ねない担当者だった。

結局、彼を恐れた元子は、大山に連絡を取れないまま告知のタイミングを逸したどころか、先に地震の情報を得たツアー客に、先にいろいろ聞かれることになってしまった。

「あのパワハラ担当者ねー。どうしてあんなのが、ツアー担当なんだろう。せめて添乗員とは関わらないポジションに外して欲しいよ。」

「外されたよ。」

「え?」

「大山さんは、企画担当から外れた。」

愛が愚痴を言った瞬間、杉戸がすぐに返した。

「大山さんの態度は、前々から問題にはなっていたんだよ。社内で何度か注意もされていて、ずっとマークされていた。実際に今回も、電話をかけてきた添乗員の一人に怒鳴ったらしくて。それこそ『有事に対応できかねる』と判断されて外された。」

「えー!?社内でもそんな措置があったんですか・・・。ニューワールドやるなあ。」

感心した愛は、またミラノ風カツレツを切り始めた。

「でも、それなら元子ちゃんが、レギュラーを外されることないじゃないですか。」

カツレツを頬張りながら、抗議するようなするような口調で言った。

「それはそれ、これはこれでね。大山さんの指示がなくても、自分の判断で告知した添乗員はいたんだよ。ニューワールドからも、きちんとした説明があった。

『大山のことは、本当に申し訳なかった。ただ、あのような有事に、指示なしで正しい行動をとれた者と、とれなかった者では差があると判断した』

正直、ちょっと厳しいとは思ったから、雪輪に関しては粘ったんだけどね。だめだった。」

「はー・・・元子ちゃんはそれで納得しているの?」

「同じことをニューワールドの人からも説明受けました。大山さんの処分には、とても納得しています。残念だけど・・・私と違って、きちんと告知という対応ができた人がいたってことは、評価が下がっても仕方ないかなって。」

納得しているというより、納得しようとしているようだ。

つまり、同じレギュラーを外れたでも、元子と杏奈では、その質が違った。
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「杏奈ちゃんはやばいかも。」

水ダコのペペロンチーノスパゲティーを美味しそうに食べながら元子は言った。

「水ダコのパスタ、美味しそうね。」

愛が、思い切り話の腰を折った。元子は、けっこう重要な話をしたつもりでいたのだが、愛にとっては、それよりも美味しそうに食べるスパゲティーの印象が強かったようだ。

「タコの美味しさは、ポルトガルで学びました。」

後輩の元子が話を合わせた。ヨーロッパでタコの料理をよく見かけるのは、ギリシャ、スペイン、ポルトガルだ。ギリシャでは、グリルするのが一般的だが、スペインとポルトガル、ことポルトガルでは料理法がシチューやリゾット、パスタなど多岐にっ渡っていて、その味わい方は様々だ。なお、この三か国では、タコの缶詰も売られていて、やはり美味しい。一缶三ユーロほどと安いことは安いが、ポルトガルでイワシの缶詰が1ユーロ前後であることを考えると、食材としては、やや高級なのだろう。

「あっちのタコは柔らかいんです。またポルトガルで食べたいなあ。」

「行けるよ、きっと。」

添乗に行けずに寂しそうな表情を見せた元子を、愛が軽く励ました。

「で、木崎さんの何がやばいわけ?」

そして、いきなり話を戻した。

「杏奈ちゃんは添乗員を続けないかもしれません。」

元子は、普通に素早く反応した。

「うーん・・・そうか。優佳さんが心配した通りになっちゃうのかなあ・・・。」

「え・・・どうして!?」

それまで、話がコロコロ変わるガールズトークについて行けず、眺めているだけだった杉戸が、初めて声をあげた。愛と元子は、揃って杉戸のほうを振り向いた。まるで「そこにいたの?」という顔をしている。

「安定した収入を得られる仕事がいいと言っています。」

元子は杏奈とそのあたりをよく話していたらしい。二人は同期だ。一緒に研修を受けて、ほぼ同時期に初添乗に行った。今でも、ドルフィン内では、お互いに一番連絡を取り合っている関係だ。職場の親友というか、戦友と言えるような関係だった。

「安定した仕事ってなに?今の時期に見つかるのか?」

杉戸は、少し動揺していた。若手の中でも特に目をかけている二人のうち、一人が辞めるかもしれないという話を聞かされているのだ。

「まだ、研修を終えたばかりで仕事がなかった時に、杏奈ちゃんは、チェーンの居酒屋でアルバイトしていたんですよ。今もそこで働き始めたんですけど、店長から本格的に働かないかって誘われているんだそうです。正社員への登用もあるからって。」

「安定しているって居酒屋?」

「はい。」

「安定しているっていうのか?本人がいいならいいけど、今の木崎なら添乗のほうが遥かに稼げるぞ。ツアーが始まればすぐだ。」

「いつ始まるんですか?」

急に元子の声が冷たくなった。

「何度も言っているだろう。二か月を目途に考えている。」

「絶対に二か月なんですか?」

そう真っすぐ言われると目途や目安と言う言葉は使いにくくなる。

「信用されていても、ツアーがなかったら終わり。なにもミスしていなくても、お客さんの一言でツアーを外される。会社もお客さんも信用できないと、今、杏奈ちゃんは思っています。」

「ちょっと、そこまで言わなくても・・・というか、元子ちゃん、それ言っていいの?」

愛のミラノ風カツレツを切る手が止まった。
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愛の睨みつけるような視線は、すぐに冷静になった。

「こういう状態って・・・一部の人だけでツアーをこなすのって、どれくらい続きそうですか?」

「二か月くらいだと思っている。その先のツアーに予約している人たちはキャンセルしていない。今のまま落ち着いていけば、その頃には回復し始めると思う。」

「二か月なら、私は大丈夫です。自分の仕事が全部なくなるのは無理だけど、こういう時期なら仕方ありません。半分くらいまでなら、私は平気です。二か月でしょ?」

澱みないに瞳でまっすぐ杉戸を見つめて、愛は言った。

「杉戸さん、意地悪ですよ。自分の仕事ーが全部なくなってもいいのかとか。そんなわけないじゃないですか。ツアーが少なければ、ワークシェアリングできればいいのにと思っただけです。」

「・・・そうだな。ごめん。」

杉戸もストレスが溜まっていた。ドルフィンは、添乗員同士の横の繋がりが他の派遣会社に比べて強く、「仕事をもらえない者に少しでもツアーをまわすべきだ」という批判を電話や対面で連日受けていた。そのわりに、どの添乗員も自分のツアーが思った通りに入らないと、「そこまで仕事を減らされていいとは言っていない」などと言ってくるのだ。

「調整したわけじゃない。本当にツアーがない」と説明しても「今月は苦しい。自分にはツアーをまわして欲しい」と言って引かない。

収入が減って苦しいるのは分かる。みんなそれぞれ事情があるだろう。だが、「だったらきれいごとを言うな」と言いたかった。

「とりあえず二か月間限定で仕事が減っても協力してくれるか?」との問いかけに抵抗なく頷いたのは、これまで優佳、匡人、洋平の三人だけだ。柳原は「皆が協力するなら合わせる」と少し言葉を濁しながら頷いた。しかし、こういうことに協力的な添乗員に限って、取引先からはリクエストが多く、逆に「ツアーから絶対に外すな」と言われてしまうものだ。

添乗員派遣の営業でストレスになるのは、取引先の我儘と所属添乗員の自己中心的な要望だ。この震災時は、それらが顕著だった。

そのストレスが溜まっている精神状態で、愛に少し当たってしまったかもしれない。

「うん。和泉はそのあたりは協力してくれるよね。でも、今は、本当にワークシェリングを許されない状態だから、逆にきついスケジュールをこなすことで協力して欲しい。」

「わかりました。」

杉戸の表情からムキになっている様子が消えたので、今度は愛も素直に頷いた。よく見ると、杉戸の目の下にはクマができている。疲れがたまっているのだろう。

「この話をしたとき、優佳さん怒ったでしょ?」

腫れ物に触るような言い方で愛が尋ねた。

「うん。そうだけど、なんでそう思ったの?」

「あの人、自分が新人時代に貧乏だった話をすぐにするから。今も、仕事がなかった頃のことを夢に見るって言っていたし。だから少しずつでも、皆が均等にツアーを持っていたほうがいいと思っているんですよ。」

「うん、『二か月は長い。堪えられない人は堪えられないだろう』と言っていたよ。特に木崎のことは、とても心配していた。」

「あの子、できそうですもんね。それこそお客さんから見た印象だけで、大きなミスをしたわけでもないのに。」

「まったくだ。木崎と雪輪は、レギュラーに残しておきたかったよ。」

「ところで、元子ちゃんを見て少し心配になったんですけど・・・」

「なにが?」

「あの子、添乗の仕事がないから、収入のためにここで働いているんでしょ?」

「そうだよ。」

「『どうしてあの子だけ!?』みたいなこと言われません?贔屓だとか。」

「言われたよ。」

「だめじゃないですか!それ!」

「いや、エクセルをある程度できなきゃ困るってことで。文句を言っていた人たちは、作業内容を見せたらなにも言わなくなった。」

現在もたいがいだが、この当時における添乗員オフィスワークのスキルなど悲惨なものだった。

「元子ちゃん、できるの?」

「最初、できる作業は微々たるものだったけど、エクセルの本を渡して、作業やらせたら飲み込みよくて助かるよ。このまま内勤でいてくれてもいいくらいだ。」

「え、そんなにできるんですか?」

「本人が添乗やりたいというから、戻すけどね。」

「他の添乗がない人たちは?」

「社長が知り合いの派遣会社に頼んでやり手がいない事務派遣の仕事をもらっている。入力専門ならなんとかなる人がたくさんいるからね。」

「ハローワークとかは?」

「それでもいいんだけど、そっちでいい仕事が見つかっちゃったら、添乗に戻って来ないかもしれないだろ?だから、なるべくそうならないようにドルフィンから仕事を振るようにしているんだよ。」

「全員に?」

「さすがに全員は無理だ。どうしても優先順位がつくね。」

「シビアだなあ・・・。」

「シビアだよ。本当に福居が言った通り、二か月は長いね。」

それでも、なんとかして添乗員を守ろうとするドルフィンと営業の様子を目のあたりにすると、少しホッとした愛だった。

 

「すみません杉戸さん。和泉さんと話していいですか?」

仕事の合間にコーヒーを入れに行った元子が二人のところに来た。「どうぞ。」と杉戸は笑顔でこたえた。

「久しぶりにごはん食べに行きませんか?私、終わるまでまだ二時間あるけど。和泉さん、忙しいから次にいつ会えるか分からないし。いろいろ話したいことも相談したいこともあるし、待っていただけませんか?」

「うん。いいよ。私も元子ちゃんとごはん食べたい。」

「やった!」

「相談?」

なぜか杉戸が敏感に反応した。よからぬ相談とでも思ったのだろうか。

「全然やましいことじゃないです。よかったら杉戸さんもどうぞ。」
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「どうしたの?そんなところで何しているの?」

愛は、元子が添乗員エリアではなく、営業や経理と同じ内勤エリアに座っていることに気付いた。

「内勤の手伝いです。」

「え?アルバイトってこと?」

「はい、まあ・・・。」

「・・・そう。おつかれさま。」

添乗員の元子が、なぜそんなことをしているのか知りたかったが、気まずそうな表情をしている彼女を見て聞くのをやめた。

「和泉、ちょっといいか。」

優佳や匡人たちと違い、愛は、業界の現状や取引先の方針を聞かないままイタリアに行ってしまった。それを杉戸は思い出して、彼女にも話すことにした。

 

「え?そんなことになっているんですか?」

初めて聞いた情報に、愛は目を丸くして驚いた。

「それを実行している取引先は、どこなんですか?」

「徹底的にやっているのが、ニューワールド。強めの奨励がスカイツアーズ。」

「意味あるのかなあ。地震直後の時なら理解できたけど・・・。」

少し考えた仕草を見せた後、愛は独り言のように呟いた。

彼女がイタリアに行き、その後匡人や優佳、洋平たちが出発するくらいまでは、まだまだ頻発する余震と、厳しい電力規制のおかげで、列車や電車の減便が顕著だった。そのため空港へのアクセスが不安定で、通常よりも一時間ないし一時間半くらいは早く空港に着くようにどの添乗員も動いていた。そういう意味では、確かに「有事に備えている」ようなところはあった。

「でも、今はもう空港のアクセス問題はありませんよ。昨日帰って来たときの鉄道事情は、地震前と変わりませんでした。現地で案内している時は、有事もなにもないし。

だから今さら・・・。ちょっとくらいの判断ミスくらいで、なにもツアーを全部取り上げなくてもいいのに。お客さんから指摘されたのはよくないけど、大きな問題になったわけでもないでしょ?それなのに、かわいそう・・・。」

哀れみの視線を元子に送った。確かに、首都圏の人々が苦労していた鉄道の運行状況はかなり改善されていたし、余震の頻度も減りつつあった。

「添乗員視線だけで見ればそうだけど、旅行会社は旅行会社の苦労があるのさ。」

静かだが、ややきつい口調で杉戸が返した。

「大量にキャンセルが出てツアーの本数が少なくなっている。残っているツアーを、能力の高い添乗員にアサインして、問題なく終えたいのさ。ツアー本数が少ない時ほど失敗は許されないんだよ。分かるだろ?」

愛は無言で頷いてから、少しの間俯いた。杉戸は続けた。

「確かに逆の考えの旅行会社もあるよ。」

「え?」

「うちと取引はないけどね。グランド・ジャパンの格安部門は真逆のことをやっている。少しでも赤字を小さくするために、ギャラの安い若手だけを使って人件費がかさむベテランや、ギャラの高い腕利きをアサインから外している。あちこちから色々不満が出ているらしいけど、さすがグランドだよ。ぶれないね。

もし、和泉がグランド・ジャパンの添乗員だったら、雪輪の立場だ。あの席に座っているのはお前だったかもしれない。

どう?逆の立場を想像してみろよ。雪輪たち若手に仕事をあげたいというのは、自分に仕事があることが前提じゃないのか?うちの若手たちに気を遣ってくれるのはありがたい。でも、自分に仕事がなくなる状況になっても、あそこにいる元子にツアーをあげられるか?そう言えるなら、ドルフィンのことも取引先のことも、いくらでも悪く言ってくれ。」

厳しい言葉と視線、そして現実が愛を突き刺したのか、彼女は再び下を向いた。

「少し言い過ぎたか」と、杉戸は自分の言葉に少し後悔した。

だが、不要な心配だった。顔を上げた愛は、杉戸以上に厳しい視線で彼を睨むように見つめていた。
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-201144日 日本 東京-

「ただいま帰りました。」

震災を終えてすぐ。317日に成田から関空に移動してからイタリアツアーに出発した和泉愛は、17日間に渡る長丁場のツアーを終えて帰国した。翌日の月曜日、無事に旅行会社GTSへの報告を終えて、半年ぶりにドルフィンのオフィスを訪れた。

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(和泉愛の震災直後の出発エピソードは、上URLから入り㉗~㉝まで)

「おー!おかえり!今回のアラスカはどうだった?」

社長の本城が、ずいぶんと勘違いなあいさつをした。

「アラスカから帰ってきて、その後イタリアに行って帰ってきたところです。」

愛は愛で、わざわざ紛らわしい言い方で返し、悪戯っぽく笑っている。

「え?」

「社長、和泉はアラスカのガイド期間が終わって先月に帰国しています。ほら、シアトルからのデルタ航空便が成田に着陸できないで横田基地に入ったでしょう。あの時です。」

「あー!そうだった。悪い悪い。」

苦笑しながら説明する杉戸の言葉に、本城はバツが悪そうな照れ笑いを浮かべた。

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(和泉愛の横田基地でのエピソードはここから入りまで)

「すみません。あの時は、イタリア添乗準備と余震の激しさで外に出られなかったから。こちらに挨拶にも伺えませんでした。」

今度は、素直な物言いで礼儀正しくお辞儀もした。

「いやいや。思い出したよ。大変だったな今回の出発は。現地に着いてどうだった。大阪からのお客さんたちは大丈夫だったか?」

「ええ!ばっちりでした。皆さん優しかったー。」

========

あの日、成田に飛んでくるはずのアムステルダムからの便が関空に行き先を変えてしまったため、必然的にツアーの出発も関空からとなってしまった。

そのため、成田発着予定だった客たちは、航空会社が用意してくれたシャトルバスで移動して、関空へ移動することを余儀なくされた。

「帰国時も関空に到着する可能性がある」など、提示されたその後の条件があまりに悪いため、最終的に旅行会社のGTSは、「当日キャンセルをしてもチャージはいただかない方針」を参加客に示した。

その結果、全員がキャンセルしてしまった。愛は単身で関空に向かい、先にイタリアに向かった関空発着の客六人を案内するために飛び立った。

予定よりも半日以上遅れて、翌朝の八時半頃にフィレンツェに着いた。現地の空港では、ガイドとツアー客六人に出迎えられるという、添乗員としては、おそらく二度とないであろう珍しい経験をすることになった。

「おお!よう来たなあ。」

「今日は、ガイドさんが日本人やから、あんたはなにもせんでええで。明日から頑張ってな。」

などと、次々と優しい言葉をかけられた。彼らには、成田発着の客たちが、全員当日キャンセルしたことは知らされていなかったようで、そのことを伝えると、

「気の毒だわあ・・・。」と、心底同情していた。

バスに乗ると、六人の客たちは全員後方に席を取っていた。

「え・・・どうして皆さんそんなに後ろにおかけなんですか?」

ガイドに尋ねたが、笑っているだけだ。

「前のほうのいい席は、関東組に譲ってやろうと話し合ったんよ。かなりしんどい思いをしているはずやから。」

客の一人が声をあげた。成田組が厳しいスケジュールで到着することを考慮してのことだったようだ。

想像していなかった彼らの優しさに、愛は胸を打たれた。

「一人もも連れて来ることができずに、申し訳ありません・・・。」

目を潤ませた愛に向かって、狭いバスの通路を歩いて三人が歩み寄ってきた。

「あんたが悪いんやないで。」

「そうや。あんただけでもよく来てくれはった!これで安心して旅できるわ。」

「今日はもう、私らの人数数えるだけで、ほんまに何もせんでええで。このツアー長いからなあ。無理して倒れたら大変や。頑張るのは明日からにしてや。」

いろいろな声を聞いて、「来て良かったなあ。」と愛は思った。

このモテモテぶりが爆発したのは、この日のディナーの時だ。地震が起こった当時のことを、散々同情された。関西組の客たちは全員、阪神・淡路大震災を経験していた。その被害は、神戸とその周辺ばかりに目が行くが、大阪の人たちも激しい揺れを味わっており、彼らにとって東日本大震災は、他人事ではなかった。

だが、帰国後に余震しか体験していない愛は、そのあたり話を合わせられなかったので、正直に言った。

「私、添乗員の仕事だけでなく、アラスカでガイド活動をしております。あの日は、シーズンを終えてちょうど帰国する時でして・・・実は飛行機の上にいました。地震発生時のことは知らないんです。」

「おお、そうか。それはよかったなあ。もし、成田に着いていたら怖かったと思うで。あれ?でも、その時なら成田には着陸でけへんかったやろ。その時も関空に来たんか。」

「いえ、横田基地に着陸して一泊しました。」

「横田!」

客全員がハモるように声をあげた。

「それはまたすごいなあ!」

話題は、一気に横田基地でのことに傾き、一週間ほど前にした体験を、写真を見せながら説明した。添乗員の珍しい体験は客の心を掴む。横田基地ネタは、それにもってこいだった。これをきっかけに、「横田基地を知る女」、「隊長」、「軍曹」などと時々呼ばれて愛されながら、たった六人で大型バスを利用する贅沢ツアーは、完璧と言う言葉では足りないくらい完璧に終えたのだった。

帰国時、愛は成田空港行きの便で帰って来た。関空発着のグループは、添乗員とは乗り継ぎ地のアムステルダムで合流して、帰りはアムステルダムで別れるという契約だから問題なかった。GTSの顧客にとってはいつものことだった。

成田行きは、放射能騒ぎのおかげで日本人ツアー客しかおらず、愛は一人で真ん中四つの席をとり、肘掛けを上げて寝て帰って来ることができた。結果的には、とても恵まれた環境での仕事になった。

==========

「お前、それ楽し過ぎだろ。俺たちの心配はなんだったんだ。」

一部始終を聞いた本城は、いかにも取り越し苦労な気分であるかのように言ったが、

「すみません。でも、社長は心配なんてしてないでしょ?私がアラスカから帰ってきたと思っていたじゃありませんか。」

と、愛が気の利いた突っ込みを入れると、オフィスには笑いが起こった。

「でも、初日の成田での苦労を考えると・・・終わる時には同じツアーでの仕事とは思えませんでしたよ。ほんと、なにか不安になっている時って、無事にツアーって終わりますね。」

しみじみと言う愛の言葉にゆっくり頷く者がいて、愛と目が合った。

「あれ?元子ちゃん?」

「和泉さん、お久しぶりです。」

「有事のレギュラー」から外された雪輪元子だった。

※文中、適当な関西弁についてはご容赦ください。

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ミケランジェロ広場から眺めたフィレンツェ旧市街とドゥオーモ。
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-南アフリカ共和国 ケープタウン-

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ロベン島に向かう時に、船から眺めたテーブルマウンテン。おそらく、この角度から見た時が一番テーブルっぽく見えるような気がする。
「みなさん大人だなあ・・・」と、優佳はその時まで思っていた。

ジンバブエとザンビアでは、ビクトリアの滝を堪能し、ボツワナでは、大自然の中に生きる多くの動物を目にして(お客さん曰く)「人生観がかわったわ」という体験をして南アに入り、ツアーは順調に進んでいた。

香港で、東京、大阪、名古屋それぞれの空港から出発した客たちは、香港で合流してひとつのグループになった。

ツアー中に、当然地震発生時や慢性的な余震の話は東京の客からは出る。大阪と名古屋の客は、それによく付き合ってくれていた。好奇心でいろいろ聞きたい方々もいらしゃったようだが。

優佳は微笑ましくその様子を静観していた。ところが、日を追うごとにだんだん穏やかな状態ではなくなってきた。

一部の客が、食事ごとに繰り返す震災の話は、もはやしつこ過ぎるネタになりつつあった。さらに政府の対応に対する文句などに発展したため、周りが辟易し始めた。

「これはまずいわ。」

ケープタウンに着いた日にホテルでディナーをとる時、「震災ネタ」を続ける女性二人組と男性客のそばに座った優佳は、タイミングを見計らって、会話に介入した。

「ところで、ビクトリアの滝はすごかったですねえ!」

話がまたもや震災に傾きかけた時、思わず声を大きくして言ってしまった。声の大きさはさることながら、かなりいきなりだったので客たちはポカンとしている。

「どしたん?」

隣に座っていた神戸から来た年配夫婦の奥様が「なにごとか」という表情で伺ってきた。

「あ、いえ。今回のビクトリアの滝は、本当に素晴らしかったから、みなさんどうだったかなって・・・。」

「そりゃすごかったけど、自分がしたい話で、お客さんの会話を遮るもんやないで。」

「すみません・・・。」

日頃、雰囲気や空気を読むのに長けていた優佳にしては珍しいミスだった。

「ほんまに大変でしたねえ。」

奥様は、三人の話を受けながら続けた。

「うちも、神戸の地震の時は家を失くしましてねえ・・・大変でしたわ。」

全員の表情が「え?」というものになり、視線は奥様に注がれた。

「神戸の地震も凄い揺れでね。ほんま死ぬかと・・・いや、死んだと思いましたわ。そんでね、揺れている時に、家がねじれたような感覚があったんですわ。落ち着いた後、たまたま一階で寝ていた娘にねじれた感じがするところの様子を見に行かせたら、『お母さん、階段がなくなってるで』って言われましてね。行ってみたら、ほんまにないんです。」

「え?ご家族は・・・。」心配そうに他の客が尋ねてきた。

「隣にいるのが夫なんですけど、生きてるみたいです。」

急に冗談めいた口調になり、周りが笑った。見事な緊張と弛緩だ。

「息子は、東京の大学に通っていていなかったのと、たまたま二階と一階の壊れたところには誰もいなかったので運がよかったですわ。けど、紙一重でしたねえ。私らが親しくしている人で亡くなった方はいなかったんですが、それでも、近所の顔見知りの方には亡くなった方もいらして・・・ショックでしたわ。しばらく気持ちが沈んでいましたね・・・。思い出したくないなあ・・・。」

そう言いながら俯いたのだが、一瞬優佳と目を合わせて、口元が微笑んだようにも見えた。

「あ、すみません、こんな話。確かに滝はすごかったなあ。あ、私が話を変えてしまいましたわ。またすみませんねえ。」

「あ、いえいえ。」

同じテーブルに座っていた客たちは、災害の中心地にいた語風の体験談に気圧されたのか、その後、この食事中に震災話が出ることはなかった。

「ありがとうな。」

ディナー後、十五人の客たちが三々五々に部屋に戻っていく時、奥様が優佳にお礼を言ってきた。

「え?」お礼を言われる意味が分からなかった。

「関東の人たちの震災話を止めようとしてくれたんやろ?私らも、『そろそろええやろ』と思ってたところやわ。」

ご主人が優しく言ってくれた。自分の試みに気付いてくれていたと思い、優佳は嬉しかったが、

「言い方とタイミングはセンス無かったけどな。」と、奥様にからかわれると、自覚できるほど顔が真っ赤になり、穴があったら入りたい気分になった。

「でも助かったで。私らがいきなり注意しても角が立つしな。あんたが間に入ってくれたから、私らもああいう言い方ができたんや。あちらも、それで気付いてくれる人たちだったしよかったわ。」

と、フォローが入ったことで救われた。

「ところで、聞きたかったんけど、どうして出発前に添乗員が変わったん?」

急に来た質問に、優佳は業界の事情を正直にこたえた。

「確かに有事だったわ。あんたがあそこにいなかったら、関東とそれ以外で戦争になっていたかもしれんで。それか東西冷戦や。」

ご主人が真顔で言う冗談に、優佳は笑ってしまった。奥様も笑いながら

「関係がまずくなる前になんとかしようとしてくれる添乗員さんて有難いで。ありがとう。」

と、言って部屋に帰って行った。

「有事・・・有事かも。こういうのは、杏奈たちには、まだ無理かもしれないなあ。」

優佳は少しいい気になりかけたが、自分のタイミングの悪さを思い出して、今度は一人で真っ赤になっていた。

「関西の方たちのお話のうまさにはかなわないなあ・・・」


※不正確な関西弁については、ツッコミをご容赦ください。
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有名なケープタウンの夜景。
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-2011320日~31日 世界各地-

-クロアチア ドブロヴニク-

「おはようございます。」

朝食の時間。「お好きな席へ」と案内された洋平は、少し迷った後に窓側の海が見えるテーブルに席をとった。普通、添乗員は遠慮して条件の良いところに席を取ったりしない。しかし彼は、

「海側の席はたっぷりあるし、今回はお客さんの人数は少ないし、うるさそうな人もいないし・・・たまにはいいか。」

という判断を平気で出来る添乗員だった。しかも読みを外したことがない。「添乗員のくせに」などと言う説教をされたことがないのは、「やばい客」と「うるさい客」を見分ける能力に秀でているからだ。

十二人のツアー客たちは、次々とやってきた。

「おはようございます。」

小人数のツアーだと、自然とアットホームな雰囲気になり、朝食の自由席の時なども、添乗員と客が近くの席に座ることが多くなる。大人数のツアーだと、客も添乗員も、自然とある程度の距離を置くようになるのに不思議だ。

ビュッフェの食事を取ってきた夫婦の奥様が、爽やかに言った。

「ずっと天気がよくて気持ちいいわねー。やっぱり来て良かったわ。毎晩よく眠れるし。ね!」

と、最後は洋平に相槌を求めた。

いきなり話を振られた洋平は、ベーコンを口に含みながら慌てて頷いた。

「あら・・・ひょっとしてよく眠れない?」

確かによく眠れているが、なぜ他人までがよく眠れていると思うのだろう。

「よく眠れていますよ。分かりますか?」

ベーコンを飲み込んで言った洋平に、奥様は得意げに仰った。

「分かるわよー。こっちに来たら、全然地震がないんだもの。揺れに安眠を妨げられないっていいわよねー。」

「そういうことか!」と気づかされた。確かに日本にいる時は、一日何回か必ず余震があり、夜中に起こされることもある。タフな洋平にその自覚はなかったが、知らないうちに疲れがたまっていたのだ。

目の前には、春の朝日を浴びたアドリア海が、夢のようなブルーをたたえて広がっている。この日は、ドブロヴニクの観光と自由行動のみで、しかも連泊ということで余裕があった。

いつも、ゆったりとした空気を切り裂く日本人のツアー客も、今日はそこに溶け込めそうだった。大地震後に数人のキャンセルが出た為、ツアーは少人数。とても「有事の選抜メンバー」が神経を削りながらする仕事ではなかった。

余裕と時間があるから、つい余計なことを考えてしまう。洋平は、郡山の実家のことを思い出した。

「東京であれだけ揺れるんだ。郡山は大丈夫なのだろうか。」

クロアチアにいる今は、考えてもどうしようもないのだが・・・。人間、考えてもどうしようもないことを、どうにもできない時に考えてしまう。

「当分帰ってくるな。」

電話が繋がった時、父親に言われた。

「ひどく揺れたが、郡山の被害はそれほどでもない。お前が来なくてもなんとかなる。来て、何かあって東京に戻れなくなったらどうする?仕事に穴をあけるな。」

自分が父親の立場でも同じことを言うだろう。だからと言って、それで割り切れるものではない。

なぜだろう。日本にいた時より、クロアチアにいる今のほうが、ずっと郡山のことが気になる。

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美しいグラデーションを見せるアドリア海

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遠くからでも近くからでも美しいドブロヴニクの街とアドリア海


-
トルコ カッパドキア-

「自粛なんて考えませんでしたね。とにかく早く日本を出たかった。毎日の揺れで頭がおかしくなりそうでしたよ。」

洞窟ホテルでのディナーの時、横浜から来た男性がそう言うと、その場にいた全員が頷いた。

「こういう言い方は、良くないかもしれないけど、旅行の予定を入れておいてよかったと思ったわ。」

という女性の言葉は、余震が続く環境で暮らしている人の実感がこもっていた。「良くないかもしれないけど」という言葉には、メディアで目にする東北の人々のことを考えると・・・ということなのだろう。

ビジネスクラス利用で、宿泊ホテルが全て五つ星ホテルのツアーの定員は元々少なかったが、地震による自粛モードでキャンセルが出た為、たったの九人になっていた。

それに日本語ガイド、添乗員、バスドライバーの三人の案内人がつくのだから贅沢な旅だ。

毎日いつ来るか分からない余震、節電のためにいつもより暗くなっている街並み、重苦しい自粛ムード。全てから解放された客たちの気持ちのはじけ具合が半端ない。

「楽なツアーだなあ。」と、匡人は思っていた。こちらがいちいち気を遣わなくても、客同士で勝手に盛り上がってくれるのだ。これまでの自分の海外旅行、趣味、そして地震。当初の予定通り木崎杏奈が来ても、まったく問題なかったであろう。

有事に備えたツアーは、あまりにも無事過ぎるとさえ思えた。

「地震と津波が起こったのは、トルコではなくて日本なのに、何が有事なの?」

と、ガイドのジンギスに問われた時には、「本当だよな」と同意するしかなかった。

ただ、一部の客が妙に、ある意味時々不自然に盛り上がるのが気になった。興奮状態にも見える。

「あれって地震のせいかな?」

「私もそう思った。みんな、地震で疲れているんだよ。トルコも地震が多いから、なんとなく分かる。みんなお互いに分かっているから、話を聞いてあげられるんだよ。」

「こんな理解のあるガイドなら、なおさら杏奈が来るべきだったのに」と、匡人は悔しく思った。
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カッパドキアの洞窟ホテル。映画のワンシーンを思い起こさせる。(写真と本文は関係ありません)
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