わたらせ渓谷鉄道沿い。栃木との県境近く。群馬県みどり市の田舎道から、さらに田舎の一本道を上っていく。

「いったいどこに続く道なのか・・・」と森林の中の一本道を行くと、昭和に建てられた古い校舎のような建物が姿を現す。お世辞にも、その外観は美しいとか立派とは言えない。

これが群馬の名物旅館・梨木館。
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中から、愛想よくスタッフが出てくる。丁寧な説明の後に通された部屋は、それまでのイメージとは別世界だ。
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十五畳ほどの居間と、十畳ほどの寝室。他には半露天風呂(これは温泉ではない)もある。トイレも洗面所も広め。特にグレードの高い部屋を取ったわけではない。ここでは、非常に標準的な一番安い部屋だ。とてもゆったりとした作りで、且つ清潔に保たれた客室は、高級感にあふれている。
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旅館の周辺には何もない。冬には、すぐそばに高さ三メートルほどのツララができて、それが見どころとなるくらいだ。つまり、観光地ではないところに、旅館が一軒だけ建っている。言い換えれば、楽しむべきものは旅館での滞在しかない。

その外観と内部のギャップがなんとも言えない。

立地は、少々現実離れしていると言ってもいいかもしれない。なにもないド田舎に、これだけ立派な宿というのは、現実よりも、小説や映画にでも出てきそうだ。

 

滞在客の食事は、常に部屋食だ。料理は美味しい。というよりも面白いと言うべきか。

山の中の旅館なのに、マグロのお刺身を出すなど、センスのないことはしない。お刺身は岩魚のお造りだ。追加料金がかかるが、岩魚は唐揚げに変更することもできる。二人で泊まる場合は、一人分だけ変更して両方の味を楽しむのがいいだろう。

鍋は、季節に関係なく必ず出る。地元産の豚とキジを選べる。キジがおすすめだが豚もうまい。二人で泊まる時は、やはり両方頼んで共に楽しむべきだと思う。

なお、翌朝はキジの出し汁でつくった雑炊が出されて、これがまた美味い。

そのほか、コンニャク、地元の野菜を使った天ぷらなど、とにかく地元の食材にこだわっている料理は、ここならではのものだと思う。ちなみに、売店にあるキジの釜飯もうまいので、購入していくのがおすすめ。

冷蔵庫には、かなりの量のドリンクが用意されているが、アルコール(ビールと日本酒)も含めて、すべて料金に含まれている。アルコールが足りない場合、ソフトドリンク数本と交換できる。つまり、滞在中にかかる追加料金は、ロビーで頼む生ビール(これも宿泊のグレードによっては無料)とお土産代くらいだ。また、夏季限定ではあるが、ロビーにあるアイスは、毎晩7時まで一人三十個限定で好きなだけ食べられる(チェックイン時に、本当にそう言われる)。

 

温泉は、大浴場と露天風呂がある。食事が部屋だから、他の客の顔はほとんど見ることがなく、出会うとすれば、浴場と売店くらいだ。だが、部屋数がそれほどあるわけでもないし、なにもかも部屋にあるうえに、旅館の外にはなにもないので、皆あまり外に出ることはないから、滅多に会わない。

風呂も、貸切に近いことが多い。もちろん時間帯によるけれど。

だからとても静か。春は鳥のさえずりと虫の声。夏は蝉の鳴き声。秋はやはり虫の声。冬は風の音。たまに聞こえる車のエンジン音以外は、これくらいしか聞こえない。

部屋にはDVDプレーヤーもあるので、お気に入りを持っていくといい。特に、子供はそういったものがないと、ここでは時間を潰せないと思う。「何もない」ことを楽しめるのは、大人だけだと思う。

あ、ひとつだけ見るものがあったら。夜になったら屋上に出よう。下界と遮断されたそこには光がなく、美しい天の川を眺められる。それもまた、宿の売りだったので書いておこう。

 

列車で行く場合、近くの駅までスタッフが迎えに来てくれる。無人の上神梅駅は、ドラマ「鉄道捜査隊」などの撮影地になった。わたらせ渓谷鉄道(旧足尾線)からの景色は素晴らしいから、一度足尾まで列車の旅を楽しんで戻ってくるのもいいかもしれない。

車で行く場合は、チェックアウトの後、やはり最寄りの駅に車を止めて、往復二時間の列車の旅を楽しんでから帰ることをおすすめする。この鉄道の風景は、列車からしか楽しめない。

少しでも観光を楽しみたい方には、神戸(ごうど)での富広美術館や、通洞駅近くの足尾銅山跡の訪問をおすすめする。
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わたらせ渓谷鉄道とその風景
本当の田舎を楽しみたい方に、おすすめの旅。

https://www.nashigikan.com/

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梨木館の情報はこちらから。(生ビールサーバーのある部屋もありますよ!)

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