先日、スイスより帰国した。
最近のツアー。特にスイスでは、食事をある程度抜いて自由食にしてある手配が目立つ。今回は、その案内に苦労した。
コロナ禍が始まる前、スイスフランのレートは115円前後だった。それが、現在は167円前後。米ドルやユーロの高騰ぶりはよく騒がれるが、実は、スイスフランも負けずに激しい。というか一番凄まじいかもしれない。
参考までに案内しよう。最終日の夕方、ランチが重かったためか、夕食案内希望者はおらず、僕は一人で中華料理を食べに行った。酢豚、小さなサイズのチキン・コーンスープ、小さなライス、そして0.5lのビール。これで合計39.4スイスフランだ。
「まあ、スイスならそんなもんだな。物価高いし。」と、今の為替が頭から飛んでいた僕は、円換算して驚いた。たったそれだけ頼んだだけで、今の為替レートだと6,600円相当になる。コロナ禍前のレートで計算すると4,500円。それでも十分に高いが、現地事情を知る添乗員からすると「まあスイスだしこんなもん」という感じだった。
ということで、今のスイスにおける物価高は、インフレよりも為替による影響が他国と比較しても多大だ。
自由食時に、ただメニューを眺めながらまともに頼むと、食べきれない量が出てくる上に、毎回一万円ほど消費することになる。これはいくらなんでもグロテスクだ。
自由食時は、添乗員の案内を多くの客が期待している。だから、いろいろ工夫した。
例えば、イタリア語圏のサンモリッツでは、イタリアンレストランを選び、量が多い一皿をシェアした。四人一組になっていただき、サラダ、ピザ、パスタ、肉料理を一人一皿の計算でオーダーすると、お客さんは四品を少しずつ楽しめる。量が多い一品だと、途中で飽きてしまうが、四種類の料理となるとわりと量があっても飽きずに楽しめて、すべての皿がきれいになる。支払いは、一人一皿分を支払う計算になるから、20スイスフランほどで済む。円換算で3,300円ほどになってしまうが、イタリアンで四種類の料理を食べるとなると、割高感がけっこう薄れる。
チーズフォンデュは、フランスのシャモニーに行った時に案内した。スイスの周遊ツアーだとモンブランを見るためにシャモニーに行くので、そこを利用した。この辺りは、フランスといえどスイスと共通する料理が多いし、同じチーズフォンデュでもフランスのほうが味がまろやかで日本人向きだ(それを物足りないという人もいるけれど)。そして、わずかにスイスでたしなむより値段が安い。一人20ユーロほど(約3,100円。スイスで食べるより平均して500~1,000円ほど高い)
インフレは仕方ないが、円安の間は、しばらくの間このような工夫が自由食の案内では必要だろう。そうしないと、お客さんの次回の旅行に対するモチベーションが落ちてしまう可能性がある。
コロナ禍後の旅行現場での努力もいろいろだ。お客さんたち、なんでも添乗員にご相談ください。いつも満足できる回答が得られるとは限らないけど、自分たちで悩んで何もしないよりはましですよ。こと、食事に関しては。
それでも食事は美味しいものを食べたいし、食べさせたい
にほんブログ村
↑ ↑ ↑ ↑
ブログランキングに参加しています。上位に行くと励みになるので、よかったら上のバナーをクリックしてください。