真冬のある時、スロヴェニアのブレッド湖を訪れた。
image
真冬の遅い夜明け。雲一つない晴天。空全体がゆっくり青くなっていった。こんな時は、雪景色まで青く染まる。寒そうだけど、ホテルの窓から見て、あまりにも幻想的だと思って外に出てきた。こんな空気が澄んだ青い風景は滅多にない。そして、この色の風景は、寿命が短い。10分もしないうちに色も明るさも変わってしまう。
image
同じような場所から、30分後に撮ったもの。美しいが、がらりと雰囲気が変わっている。
image
湖畔まで出ると、雪を被ったアルプスの写り込みが見えた。朝とは言え、ここまで湖面が静かなのも珍しい。冬の風景満喫。この時のお客さんはついていたなあ。
image
この日の朝の気温は-4℃。気温よりも湖の水温が高いため、朝のうちは湖に靄が発生する。ブレッド島へ向かうボートから背後を見ると、まるで霧の上を航行するかのような別のボートが見えた。あちらからもきっと僕らのボートはそう見えていただろう。お客さんたちは、寒い中、手袋を外してこれを写真に撮っていた。
image
image
雪景色の中のブレッド城。島の観光を終えて、帰りのボートの上から撮った。靄は、わずか一時間程度で消えてしまう。
かつては、真冬になると湖一面が凍って、スケートなどもできたそうだが、現在は、浅瀬の湖岸沿いがわずかに凍るのみ。それもスケートだなんてとんでもないほどの薄さ。
image
こちらは5月に訪れたブレッド湖。ボートに乗っている欧州系の人たちは半袖だが、僕ら日本人にとっては、まだ肌寒い。湖面は揺れているが、これが普通。緑の中に城が映えている。
image
ブレッド城から眺めたブレッド湖。雲と山が、うっすらと写り込んでいる。
image
ブレッド湖に浮かぶブレッド島。スロヴェニアの国土において、唯一の島とされているところ。教会の起源は古く、起源は8世紀に遡る(現在の建物は17世紀)。現在では博物館化しており、ミサなどの宗教行事は行われていないが、結婚式の名所だそう。ボートを降りて、新郎は新婦をお姫様だっこをして、99段の階段を上がるのがルールとなっている。最近は、わりとずるをする夫婦が多いらしいが、昨年、日本から来た夫婦は、きちんとお姫様だっこで99段登り切ったとか。えらいね。日本人らしい。
なお、この湖は、環境保護のため、モーターボートの利用は禁止されている。そのため、静かだし、透明度は高いし、とても素敵なひと時を楽しめる。正直、あっという間に通り過ぎてしまうのはもったいない場所なのだが、大体あっという間に通り過ぎる(笑)
image
ここ数年でできた記念写真スポット。ハートの中に、小さいがブレッド島が入るようになっている。なかなか素敵だけど、デザインがデザインだけに、日本人は、恥ずかしがって撮らない人が多い。若い人は撮ってるかな。ご年配夫婦のご主人のどなたかが、「ふざけんな、撮らねえよ。こっぱずかしい!」と言って、写真でなく笑いを取っていた。仕方なく、奥様はご主人のかわりに僕を隣に立たせたとさ。

ブレッド湖畔に泊まれるようなことがありましたら、朝の散策は忘れずに。とても素晴らしいところです。