マスター・ツートンのちょっと天使な添乗員の話

自称天使の添乗員マスター・ツートンの体験記。旅先の様々な経験、人間模様などを書いていきます。

タグ:フランス

Oh!

薬局の女性店員は、僕の歯の様子を見ると、両手で口を覆いながら世紀の大悲劇に遭遇したかのような表情を見せた。確かに、僕の状態はそれに近いものではあったかもしれないが、それにしても大袈裟なリアクションだった。

「どうにかできませんか?」

切なく訴える僕に対して、しばし考えた後、彼女は口を覆う両手をゆっくりおろしながら言った。

「こちらではどうにもできないわ。」

そんな・・・。ツアーの残りはまだ六日間もあった。ロワールの素敵なお城を歯なしで巡れというのか。聖地モンサンミッシェルを歯なしで案内しろいうのか。パリのシャンゼリーゼ通りを歯なしで歩けというのか・・・。どれを考えても、一生十字架を背負わざるを得ないような悲劇的なシーンばかりだ。だいたい、歯がない添乗員と一緒に歩くなんて、お客さんたちだって嫌に違いない。

「昨日、ネットで調べたら、歯の接着剤のようなものがあるようだけど、こちらにはないのですか?」

「ないわ。確かに歯の接着剤はあるけれど、一般の薬局では扱うことはありません。歯医者に行かないと・・・。」

「・・・・」

茫然としている僕を、しばらく申し訳なさそうに見つめていた店員は、その場を立ち去ろうとした。

「・・・あの、すいません!」

とはいえ、諦められるはずもない。前歯がないままパリの街を行き来する自分を想像したら死にたくなった。絶対に引き下がれるはずがなかった。それはもう必死だった。

「あと六日間だけの対策でいいんです。日本に帰ったら歯医者に行きますから。この間だけ、一時的になんとかできればいんです。お願いします。」

店員は、少し困ったような顔をした後、「少々お待ちください」と言いながら店の奥に入った。そして一分もしないうちに戻ってきた。

「今、ご用意できるのはこれだけです。」

「これは?」

確かめてみると、入れ歯の固定剤だった。

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「一本の歯を固定するのは難しいと思います。ちょっと固いものを噛んだら取れてしまうでしょう。その時、欠けた歯を飲み込んでしまうかもしれない。リスクを考えたら、おすすめできません。」

「いいんです。とりあえず、前歯がない状態をなんとかできれば!」

店員は、従業員用の洗面所まで貸してくれた。

「今すぐお使いになるのでしょう?口の中をきれいにしないとだめですよ。歯ブラシして、口もちゃんとゆすいでね。つけてすぐは取れやすいから、しばらく舌で触らないように気を付けてください。」

優しい。急にお母さんモードだ。

果たして、歯はくっついた。大きく息をついても、「ばびぶべぼ」を激しく発音しても、歯が飛んでいくことはなかった。ああ、前歯があるだけで世界はこんなに違って見えるものなのか!

バスに戻って、お客さんたちの前で精いっぱい大きく口を「い」の形にして、くっついた前歯を見せると拍手が起こった。ひょっとしたら、このツアー中で一番大きい拍手だったかもしれない。

ただし、しょせんは入れ歯の固定剤だ。食事中はすぐに取れてしまうので、外しておくことになった。それ以外でも安定しているのは、せいぜい5時間くらいで、わりと細かいケアが必要だった。

「ツートンさん、歯、大丈夫?」

と、お客さんに励まされながら、なんとか残り6日を乗り越えた。

ちなみに簡単に取れないように丁寧な治療を今も続行中で、今、入っているのは不安定な仮の歯だ。もし、みなさんがどこかのツアーに参加されて、いきなり前歯が飛んだりなくなったりする添乗員がいたら、たぶん僕だ。

その時、お願いだから「ツートンさん?」とか聞かないで欲しい。本気で聞かないで欲しい。一生のお願いだから聞かないで欲しい。

おわり
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前歯が入った後のサンテミリオンの街とぶどう畑はさらに美しく見えた。これもは一本の余裕だね。
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朝、神秘的な光をたたえる外の風景に気付く。

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部屋の前に広がっていたのは、黄金色に輝くぶどう畑。でも、まだ僕の歯はなかった・・・。
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朝のぶどう畑は美しい
「ふー・・・」と、大きく息をつくと、欠けた歯の隙間から息が抜けていった。このように書くと、けっこうな笑いのネタではあるが、当時の僕にとっては、過酷な現実であった。

朝食会場に向かった。気の早いお客様たちが、既に何人かいらした。

「おはようございます。」

「おー。おはようございます。」

何人か挨拶を交わしていく中で、僕の顔を見ているのに目が合わない方がいらっしゃるような感じがした。同じテーブルで隣に座った女性客に声をかけた。

「お客様。」

「はい?」

「僕とお話してくださるときは、目を見てください。、歯じゃなくて。」

「やだもう!余計に見ちゃうじゃない!」

その方は、赤面しながら僕の肩をペン!と叩いた。やはり、歯をご覧になっていたようだ。

正面ではご夫婦がそのやり取りを見て笑っていた。ご主人が、

「大丈夫だよ、ツートンさん。そろそろ皆さん慣れてこられる頃だ。今さらそれくらい見ても・・・あ、ごめん笑っちゃうな。悪い悪い。」

と苦笑した。ほんと悪い人だ。面白いけど。

ホテルのチェックアウト時は、年配の男性スタッフが対応していた。いつもの僕なら、昨晩の美人スタッフ軍団がいなくて、かなりがっかりするのだが、この日はかなりホッとしていた。歯が一本ないだけで、人はこうも変わる。

観光が始まった。仕事になれば歯のことなど気にはしていられない(というつもりでいただけかもしれない)。朝の光に当たる美しいサンテミリオンの街を、英語ガイドの案内で快活に進めていった。

そして、バスパーキングに向かう時だ。誰かが僕の袖を強く引っ張った。振り返ると、朝食時に隣に座っていた女性客だった。

「どうかされましたか?」

「ツートンさん。バスに戻る前にあそこに行って。」

彼女が指差す先には薬局があった。

「え?薬局ですよ。」

「そうよ。薬局よ。あそこに行って、歯がどうにかならないか聞いて来なさい。」

「あそこは薬局です。歯医者じゃありません。」

「そんなこと分かってるわよ。なにかしたアイディアを出してくれるかもしれないわよ。決めつけないで行きなさい!」

「そうだ。行ったほうがいい。」

別の男性客が言った。

「明らかに昨日までと違って集中できていない。きっと歯が関係している。とりあえず、今できることを教えてもらえるかもしれない。」

「ほら。他の方もおっしゃっているじゃない。私も、今のあなたは見ていられない。・・・というか、つい見ちゃう。・・・あ、ごめんなさい。」

どこまでが本気で、どこからが冗談なのか。

「ガイドさんがパーキングまで案内してくれるから大丈夫だ。言葉が分からなくても、後からついていくくらいなら問題ない。」

「わかりました。ありがとうございます。すぐに済ませます。」

「いえ、時間かけてもいいから、歯をなんとかしてきて。じゃないと、気になっちゃって、あなたと話す時に集中できな・・・」

「行ってきます!」

最後の言葉を遮って、僕は薬局に向かった。言葉を遮ったとはいえ、こんな時間をくださったお客さんたちには感謝していた。

日本なら歯が欠けて薬局にいくだなんて考えられない。果たして、僕の歯くっついたのか。
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石灰石の家並みが美しいサンテミリオン
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この日に泊まった古城ホテル。でも、僕の歯はなかった。
欠けた歯をはめ込んでみた。不安定ではあったが、落ちずには済みそうだ。

「とりあえずごまかせるかな。いや、ごまかさなきゃ。」

口の中をいろいろ探りながら確かめてみた。サ行とタ行の発音は前歯の近くに舌がいくから要注意だ。

そして、お客さんのところに向かった。列車の遅れは1時間20分に及んでいた。今後のスケジュールについて説明しなければならない。ボルドー到着後に予定通り観光を済ませてサンテミリオンのホテルに向かう。単純にスケジュールがずれていくだけなのだが、それでもいちいちお知らせは必要だ。

皆様が集まっているところに出向き、話し始めて、一通りの案内を終えた。

そして、「これ以上遅れた場合でも」と言おうとした時だった、場合の「ば」のところで、不安定な歯が、僕の口から飛んだ!

注意すべきはサ行とタ行ではなく、バ行とパ行だったのだ。後で口の前に手の平を出して試してみたのだが、バ行とパ行は他に比べて手の平に当たる空気の量が多い。いわゆる爆発音だ。

「あ!」と思った時は遅かった。歯は、美しい曲線を描きながら地面に落ちて行き、カツン!カツン・・・と2回音をたてて歯は止まった。

「は?」

一斉にお客さんが声をあげた。この「は?」は単に疑問形の「は?」だったのだが、歯のことで頭がいっぱいだった僕には「歯?」に聞こえた

「すいません。さっきのサンドイッチを食べたら歯が欠けちゃって・・・」

「は?」「歯?」

今度は二種類の「は?」が聞こえてきた。この時、初めて全員にばれたようだった。

意外なことに、すぐに爆笑されることはなく、同情の声が多かった。

「大丈夫?痛くない?」

痛みはなかった。ただし、心は痛かった。

「あのパン、固かったもんなあ。」

認めたくないが、そういうことだ。でも、僕の顎の力だけなら問題なく食べられた。

「いつまでも自分が若いままだと思ったら間違いよ。ある程度の年齢になったら、少し体に気を遣わないと。」

そういうことなのだろうか。あー・・・認めたくない。ん?なんだかお説教になってきていないか?

「くっつくかもしれないから、拾って保管しておきなさい。できれば口の中に入れておいたほうがいい。そうでないと、エナメル質が劣化してしまう。」

「そうね。でも、飲み込んじゃったら大変よ。別に保管しておいたほうがいいわ。生理食塩水があればいいんだけど。」

「お詳しいですね。歯医者さんみたい。」

「歯医者ではないわ。経験済みなだけよ。」

「そうだ。年をとればそういう経験をしている者はいるもんだ。」

うわー、年とりたくなーい。生理食塩水はないので、コンタクトレンズの保存液を代用することにした。

 

結局、不安定に歯をはめ込みながら、時々飛ばしたり落としたりしながら、最後は、歯をティッシュに包んでカバンにしまい、なんとかスケジュールに遅れること1時間20分。ホテルに着いた。

この日は、ぶどう畑の真ん中にある古城ホテルでの宿泊。ある意味ツアーのハイライトだった。

丁寧にチェックインの案内をされて、部屋に向かう時だった。僕と同じフロアに宿泊する女性客から言われた。

「ツートンさん、かわいそう・・・。」

「え?どうしてですか?」

「だって、チェックインの時、その歯でスタッフと話したんでしょう?あんなにかわいい人たちだったのに、その歯で・・・はあ。」

チェックインカウンターには、3人の女性スタッフがいて、確かに美人揃いだった。まるでパンフレットの撮影のようなできすぎた光景と言っても過言ではなかった。彼女たちの美しさに、女性客たちは思わず微笑み、男性客たちはヘラっとして、僕はヘラヘラヘラくらいにはなっていた。

それを見て仰っていたのだろうか、半ば冗談でからかうような、しかし本気の哀れみの視線を僕に送りながら、女性客は部屋の中に消えていった。

「そんなひどい状態なのか」と思いながら、僕も部屋に入った。この日は暑かったから、冷たい水で顔を洗いたくてすぐに洗面所に向かった。

その時、目に入ってきたのは、鏡に映った見事な歯抜けな自分の顔だった。仕事に集中して忘れていたが、僕は歯なしの添乗員だったのだ。

「確かに、この顔であの美女たちと話しながらヘラヘラしていたら、悲惨このうえない。」

現実と向き合った僕は、青くなった。なんとかしなくては・・・。

 

この日の夜は、素敵なバンケットを貸切ってのディナーだった。おしゃれな雰囲気の中で、お客さんの気持ちが上がっていくのが分かる。

しかし、僕の前歯はないままだった。
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おしゃれディナーをとったバンケット。でも、僕の歯はなかった。
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カルカソンヌのライトアップ。フランスで一番美しいライトアップとも言われている。本当は、逆側から撮る全体の風景が良いのだが、今回は機会がなかった。
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朝日に染まる旧市街。
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朝早めに散策を始めると、中世の様子を残した街並みを満喫できる。

その日は、カルカッソンヌの観光を終えた後、列車でパリまで移動することになっていた。ランチはお弁当。

「幕ノ内弁当とかではないですが、バケットのそこそこ美味しいサンドイッチが出てくると思います。駅でビールやワインを買っておけば、ちょっとした列車の旅ですね。3時間の移動ですから、退屈されないよいうにそれぞれ工夫されることをおすすめします。」

ビールやワインのところで、お客さんたちは目を輝かせた。このツアーは飲み助の集まりでもあった。

しかし、駅に到着すると、利用予定の列車には「遅延」マークがついていた。最初は20分ほどだったのに、30分、40分とどんどん長くなっていく。列車で飲むはずだったお客さんたちのビールは、しだいにぬるくなってきた。

みんなのテンションが下がってきた。このフランスのツアーは、日数が長く、航空機はビジネスクラス利用ということもあり、かなりの高額商品だった。、その方々が、たかだか1.2ユーロの缶ビールがぬるくなってしまうくらいで、不機嫌になっていくのだから人間て面白い。

こんな時、「ホテルに着いたら美味しいビールを飲みましょう」と言ったら逆効果だ。みんな「列車でビール」というシチュエーションを楽しみにしていたのだから。そっとしておく。

もっとも、紳士で淑女な方々は、こんなことで添乗員に厳しく当たってくることなく、ぬるくなっていくビールという現実を受け止めて、それらをカバンにしまっていた。駅の構内で酒盛りを始めなかっただけでもご立派な方々だ。

やがて、列車の遅延は一時間を超えた。

「夕食のこともあるから、今のうちにランチをとっておきましょう。」

僕の提案を受け入れて、全員がそれぞれお弁当に手を付け始めた。

僕も、駅のホームに入り、空いているベンチに場所をとって食べ始めた。

「でっかいサンドイッチだなあ。」

バケットとハム、チーズのいい香り。でも、バケットは固かった。やたら大きかったから、余計に顎の力が必要だった。

一口目。がぶりとかじってゆっくり噛みしめた。

「うん。なかなか。」

サンドイッチって素晴らしい。パンとハムとチーズがお互いを引き立て合う最強の組み合わせだ。

1+1+1=4になっている、最高の食べ物だ。でも、この固いバケットは、日本人、特に年配の方には圧倒的に評判が悪い。顎が痛くなるとか、歯が心配とかよく言われる。僕も、このサンドイッチを味わえなくなる日が、いつか来るのだろうか。だとしたら寂しい。

そう思って、二口目をがぶりといき、ゆっくりとかみしめようとした時、右前歯の部分が「キチッ!」と鳴った。

「ん!?」

嫌な予感がした。口の中で舌を動かしながら慎重に探ってみると固いものがある。取り出してみると・・・歯だった。

キチッ!と音がしたところを舌でさぐってみた。当たり前だが歯がなかった。

検診で、なかなか発見されなかった虫歯を治療したところだった。

「見た目は普通ですが、歯の根が、非常に細くなっています。固い食べ物には気を付けてください。」

とは言われていたが、5年くらい前の話だし、忘れていた。これまで無事だったし。

鏡がなかったので、スマホで自分の顔を写し出した。

「歯がない・・・」

当たり前のことを呟いていた。そして、このままお客さんの前に出る事を考えると、今までに感じたのとは、まったく違う種類の恐怖を覚えた。

「どうしよう。このままでは、『歯なしの添乗員』として、一生十字架を背負うことになってしまう。」

 

つづく
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僕の歯を砕いたバケットサンドイッチ
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歯なしの添乗員。写真をひっくりかえしてしまったようで、実際にないのは逆側
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パリ近郊のジベルニー。モネの家にある日本庭園。静かな水面に睡蓮が映えていた。このツアーで訪れた2日後には閉まり、来年4月まで開かない。ここを楽しみにされている方は多い。近年、オーバーツーリズム気味ではあるが、この日は比較的空いていた。

手続きを無事に終えて他のお客さんのところに戻ろうとした時、僕は男性客に問いかけた。

「あの、なにかしらフロントに申し上げたほうがよろしかったですか?」

「ん?どうして?」

「いえ、僕の背後でやりとりご覧になっていたくらいですから、もしかしてと思いまして。」

「いや、その逆だよ。」

「逆?」

「むだに文句言わなくていいから、さっさと出ようよって言おうと思ったんだ。」

なんだ。そっちか。

「早く空港に行ってラウンジ入りたいんだよ。朝に飲むビールが美味しくてねえ。やったことなからやってみて。おすすめだよ。」

良い子には聞かせたくない話だ。

「しかし、なんでこの添乗員はそこまで頑張ってくれるんだろうってことがたまにあったんだけど、ツートンさんの話で分かった。あれはパフォーマンスだったのか。」

「いや、全部がそうだというわけでは・・・」

「もちろん、そのあたりの区別はつくつもりさ。でも、次からそれを感じたら容赦なく言うようにしよう。『パフォーマンスはやめなさい!』と。」

「勘弁してくださいよ。」

「ツートンさんの分析だと付け加えたら効果がさらにありそうだ。」

「そして僕が暗殺されたらお客様のせいです。」

冗談を交わしながら、他のお客様が待つところに向かった。

「さて、他の方々にもホテルの不手際を説明してから出発しますか。」

「え?今の説明するの?」よほど早くビールを飲みたいらしい。

「はい。」

僕は、スタスタとお客様たちのところに歩み寄り、真顔で説明を始めた。

「先ほどは、不手際がありながら、皆様にはご協力いただきまして誠にありがとうございます。」

必要以上な、真顔と真面目なは話し方に、一部のお客さんたちの口元は既に緩んでいた。

「それで先ほどの不手際の理由についてですが・・・」

敢えて間を置くと、既に笑いそうになっている方もいた。

「作業をしたスタッフが、疲れていたのだろうとのことです。」

お客さんたちは、拍手をしながら笑い出した。うまく行ったツアーの中では、こんな冗談発言も許される。

「そんなことだと思った。」

「ツートンさんの真顔のジョークにも慣れました。」

「そうそう。真剣な顔の時ほど冗談言うの。」

「あんな初歩的なミスに言い訳なんてないわよね。」

「終わった終わった。早く空港に行きましょう。」

ホテルのスタッフが見送ってくれた。誰も、これ以上不手際を詫びない。それどころか「またいらしてください!」とにこやかに送ってくださった。これもまたフランス。

6時。暗いが、パリの街が動き始める気配を見せる中、バスはお客さんたちと彼らの旅の思い出を乗せて走り出した。

 

おわり

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ベルサイユ宮殿。パリの有名観光地はどこも混雑しているが、ここも例外ではない。今回は、庭園も含まれていたので、よりお楽しみいただけたようだ。
とても協力的なお客さんたちは、次々と支払いを終えて雑談をしていた。

「このドライクリーニング代、僕のデポで落とさないでくださいよ。」

少々皮肉をこめてもう一度スタッフに言うと、

「しませんよ。もう許してください。」

と苦笑いをした。

「それにしても、あなたの同僚は、なんでこんなミスをしたのでしょうね。添乗員の僕の部屋にチャージするなら分かりますけど、グループには全然関係ない客の部屋につけるだなんて。」

「おそらく、ツートン様のお部屋にまとめてつけようとしたのだと思います。」

「部屋番号が全然違いますよ。僕の部屋は458ですよ。」

「そこはおそらく・・・」

「おそらく?」

「この作業をした者は、とても疲れていたのでしょう。」

「疲れていた・・・。」

「・・・はい。」

「・・・以上?」

「はい。」

思わず笑ってしまった。すぐに解決できたし、結果的に全く問題はないが、このミスの言い訳が「疲れていたのだと思う」の一言だけだとは。

同時に、時々通り過ぎた時に目にしたフロントの忙しさを思い出した。常にカウンターには列ができていた。にも拘わらず対応するスタッフは増えなかった。明らかに人が足りていなかった。

「ここも、コロナ禍後のマンパワー不足なのかな。」

未だ、世界のあちこちで聞く現象が、パリの五つ星ホテルでも起こっていると考えが、スタッフの「同僚は疲れていたのだと思う」という言葉に繋がった・・・というのは考え過ぎだろうか。「単純な凡ミスをそんなふうに庇うなよ」と、もう一人の自分が語りかけてくる。

ま、いずれにせよ解決だ。僕のクレジットカード明細に、意味不明な請求が記載されるリスクは避けられたし、お客さんたちもスッキリして帰国することができる。

「お世話になりました。」

そう言ってフロントを背にすると、男性客が立っていた。この方は、とても英語が堪能で、僕とスタッフのやりとりを理解されていた。

「ホテルも、けっこういいかげんだねえ。」

「本当ですね。」お互いに苦笑いだ。

「でも、ツートンさんは怒らないんだね。」

「え?」

「いや、前に似たようなことがあったんだけど、その時の添乗員さんは、ホテルの人たちに、ものすごい剣幕で怒ったんだ。『お客さんを不愉快にさせるな!今後、同じことが起きないように、原因をしっかり説明して謝罪しろ!』って。そこまでやらなくてもいいってくらい。」

「今回は、単純な作業上のミスですから。すぐに解決しましたし、これ以上怒る必要はありません。」

「あの時も、すぐに解決したんだ。」

僕に怒って欲しかったのだろうか。

「だとしたら、それは添乗員のパフォーマンスでしょう。お客さんの前でしっかり仕事をしているところを見せたいとか、舐められてると思われないようにとか。」

恫喝して原因の説明を求めることなど滅多にあってはならない。少なくとも、僕は一度もしたことがない。ましてや今回のケースはそれに当てはまらない。

ただし、小さな問題でも、原因をはじめとした説明を求めるお客さんは稀にいらっしゃる。管理職を長年されていた方に多い。「原因を究明し、説明させることで今後の改善につながる」と主張される。

まったく悪気はなく、寧ろ正義感からそういう言動をなさる。気持ちは分からないでもないが、職場でのマインドを旅行に持ち込まれても、添乗員としては困る。

ひょっとしたら、お客さんが以前に見たという添乗員のパフォーマンスも、そのような人がグループにいて、何らか指摘を受けることを避けるためにしたことなのかもしれない。

いずれにしろ、ホテル側にしてみれば迷惑な話だ。

宿泊客は、あくまで客だ。客にとってホテルスタッフは、もてなしてくれる存在ではあっても部下ではない。そこを理解しておかないと、クレーマーになる。特に欧米では、客ともてなす側に、日本ほどの上下関係はない。

改善点にしても、自分がそこに留まってその後の業務を管理する立場にあるならまだしも、すぐに帰ってしまうのだ。そして、たいていの場合、二度と同じホテルには宿泊することがないのが、外国からの旅行者だ。その後を見届けることもできないのに、改善につながるための原因究明など求めるべきはない。

盗難や高額な支払いが絡むならともかく、この程度の問題なら、解決した瞬間にすぐに引き下がるのが得策だ。

「うん。そうだよね。実に納得した。」

お客さんは、納得したと言わんばかりに深く頷いた。あれ?僕に怒ってほしかったんじゃないのか?
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走っているバスの中より。凱旋門のアーチの向こうにシャンゼリーゼが伸びる。遥か彼方にはにコンコルド広場とオベリスク。
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ホテル近くのデパート。ギャラリーラファイエットのホール。この写真は今回ではなく、2019年のクリスマスシーズンに撮影たもの

支払いを控えたお客さんたちが、次々と早めにロビー階に下りて来て、10人のメンバーが全員揃った。送迎バスも来て、ポーターがスーツケースを積み込み始めた。空港までの案内をしてくれる現地アシスタントも現れた。つまり、時間より早めにいつでも出発できる準備ができていた。支払いの件が済めば。

「え?部屋に(ドリンク代が)ついてないの?」

怪訝そうな顔をするお客さんたち。たまに、「ただならただでいいけど」という冗談めいた声も聞こえてくるが、本心ではない。ボトルワイン代を払った方だけが、

「よかったじゃないですか。無料なら私もグラスのワインかビールにするんだったなあ。」

と、おどけるようにしていた。支払い終えた余裕だろうか。

「本当にただならそれが一番なんだけどね。」

一人参加の女性客がチラッと僕を見ながら言った。

「もう少々お待ちください。」

俄かに動き始めたスタッフに気付いた僕はフロントデスクに向かった。

「見つかりましたか?」

「はい。他のドリンク代は全て536についていました。」

丁寧な対応の中に、怒りのような感情をわずかに感じたのは気のせいだろうか。

536?」

「はい。」

僕はルーミングリスト(添乗員だけに渡されるグループのルームリスト)を確認した。お客さんの部屋に536はなかったと思ったが、やはりない。

「僕のグループに536に滞在していた方はいらっしゃいませんが・・・。」

「はい。関係ない方のお部屋です。」

「は?」

スタッフは、僕の反応を無視して、536にチャージされているドリンクリストをプリントアウトを差し出してきた。そこには部屋番号とドリンク代の詳細が正確に記載されていた。

「添乗員の部屋についているなら分かりますが、どうして536なのですか?」

「分かりません。申し訳ありません。」

「それで、支払いは?」

僕は、その先の文句を飲み込んで話を先に進めようとした。

「請求をみなさんのお部屋にチャージしなおします。その後、それぞれにお支払いいただきます。少々お待ちください。」

「あれ?このドライクリーニングには、部屋番号の記載がないけれど。どなたのものですか?」

「これは、実際に536にお泊りの方の分です。」

「そうですか。僕のデポジットから引き落とさないでくださいね。」

「もちろんです。」

チャージを修正しているスタッフの手際は素早く見事なもので、いい加減でだらしないミスとは完全に矛盾していた。

「もうお客さんを呼んでもいいですか?」

「はい。どうぞ。」

事情を伝えるとお客さんたちは、「えー!?」「あらー」とそれぞれに驚いた後、フロントデスクに並び始めた。一人くらい怒ってもよさそうなものだが、それはなかった。

==つづく==
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パリには何度も来ているのに、ついつい撮ってしまうエッフェル塔。建物に敬意を払うかのごとく、すぐそばにあるのは街路樹くらいで、とても見通しが良い。フランス人は、自分の街のシンボルを、とても大切にすると思う。
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もうひとつのパリのシンボル・ノートルダム大聖堂。火災後、オリンピック開催に合わせて修復をしていたが、どうやら間に合わないらしい。あのニュースはショックだったなあ・・・。
久しぶりの投稿、つい先日フランス13日間の旅から帰って来た。長いツアーだと、お客さんと添乗員は、お互いのことがいろいろ分かってくるし絆も深まってくる。今日は、そんなツアーの帰国日のお話。

===

5時半。僕は荷物を持ってロビーに下りた。パリからの帰国便は940分発。都会の朝にラッシュを避けるには、6時くらいにホテルを出ないと心配なため、これくらいからの準備が必要だ。

「チェックアウトお願いします。Aトラベルの添乗員ですが、グループ全員のチェックアウト状況も確認していただけませんか?全員、ドリンク代が部屋についているはずです。」

一泊目は、ホテル内のレストランでディナーをとった。その時のドリンク代が、レストランからの要請で部屋付けになっているはずだった。ふだんならは最終日の夜に添乗員がお客さんたちに確認して、時には付き添って支払っていただくのだが、この日はホテル近所でディナーをとり、三々五々に解散してしまったから、それができなかった。おそらく、みなさんまだ支払っていないと思った。ところが、

「うーん・・・どなたのお部屋にも、レストランからのチャージがありませんね。」

と来た。

「みなさん、支払い済みということですか?」

「いえ。そもそもルームチャージそのものが存在していません。」

「そんなことはありません。全員一昨日のディナーでドリンクをオーダーしていました。」

「メニューに含まれていたのではありませんか?」

「それはないでしょう。全員伝票にサインしましたし。」

「あちらのレストランでは、含まれているものでも、お召し上がりになった分は、伝票にサインをいただいております。」

「確かに。食事の分は僕がまとめてサインをしました。でも、それならドリンクもまとめて僕に渡せばよかったでしょう?なぜ、部屋ごとに渡して、部屋番号を書かせてサインまでいただくのですか?」

「そうですね。おかしいですねえ・・・。」

不思議そうな顔をしているが、おかしいのは間違いなくホテルだ。

「あ!見つけました。この方、758にはボトルワインが1本ついています。38ユーロですね。」

ボトルのワインを注文されていたのは、ご夫婦一組だけなのでよく覚えている。確かにその値段だった。

「よかった。他の方の分も見つかりそうですか?」

「いや、ないですねえ・・・。少々お待ちください。」

彼は別のスタッフのところに行った。どうやら上司に相談しているようだ。やがて、スタッフと一緒にシステムをチェックしていた上司がやってきた。

「確認できないものにつきましては、こちらのミスです。つきましてはお支払いいただかなくてけっこうです。」

「それはないでしょう。」

「いえいえ。これはもうどしようもありません。」

「僕は、自分の部屋だけでなく、お客様の部屋すべてにデポジットを入れています。もし、後で発覚したら、そこから引き落とされるのでしょう?」

この場合のデポジットは、支払い保証を意味する。高級ホテルの中には規定の現金を預かるか、クレジットカードを登録しておくことで、すべき支払いをせずにホテルを出てしまった人の未払いを防ぐシステムを取り入れていることがある。この手の登録は、本来はお客さんの部屋ごとにしていただくべきなのだが、滞在が短いツアーの場合、添乗員がまとめて自分のカードを登録してしまうことが多い。

だから、チェックアウト時は必ず全部屋のチャージ状況を確認する。自分が損をする可能性があるからだ。

「もし、後々発覚したら、僕のカードにそれがつくわけでしょう?困ります。今探してください。」

「いえ、私共の責任ですから、後々発覚しても請求はいたしません。」

そんなわけがなかった。

==つづく==
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一般的なフランスのツアーを案内をしている時に、時々お客さんから「本格的なフランス料理を食べられると思っていた」と言われることがある。

気持ちは分かる。だが、普通のツアーでは難しい。高級レストランとなると、食事時間をどんなに短く見積もっても二時間半はかかる。たっぷり観光を詰め込んだツアーでは、ランチで1時間、ディナーで1時間半ほどしか取れない。

時間だけではない。本当に高級レストランともなると、ランチタイムでさえドレスコードがある。その際は、もちろんカジュアル、またはスマートカジュアルなのだが、あるフランス人スタッフの言葉をそのまま借りれば、

Too casual is problem.(カジュアル過ぎても困る)」だそうだ。(実際、英語圏の人がそういう表現をしているのは聞いたことがない)

つまり、半分ジャージのような服装でスニーカーを履きこなすようなファッションで歩く人が混ざっている(それ自体が悪いわけではない)団体客の皆様にも、きちんと服装の準備をしていただかなければならない。

で、旅行会社としては、時として美食のツアーをつくり、ドレスコードをパンフレットに記載する。「ご不明な点は、遠慮なくお問い合わせください」という丁寧な言葉を添えて。

このあたりが、微妙な条件と気分のせめぎ合いというか、お客さんの中では「美味しいものを食べたい気持ち」と「ドレスコードは面倒くさい」という気持ちが戦い、たいてい「面倒くさい」が勝つらしい。

よって、美食のツアーはあまり売れない。ただし、高級レストランでは、そんな大人数の予約を取らないため、少人数でも催行されるようになっている。

逆に言うと、「そこまでしてでも」おフランス料理に興味がある今回のお客様たちは、きちんと何もかもご用意されていた。いろいろ場慣れされているのか、身なりもしぐさもスマートだ。一昔前なら必ずいらした「ベルサイユの薔薇」の登場人物のような華美なドレス(一度でいいからどこで手に入れたか聞きたかった)をお召しになっている方はいらっしゃらなかった。

そんなこんなで、着席するまでに、勝手に様々なハードルを感じてしまうおフランス料理だが、ひとたび席についてしまえば、美味な料理に舌鼓を打つしかない。

唯一緊張し続けているのは、添乗員だけだ。なぜなら、フランス人のスタッフが話す言葉(ちなみに英語)を和訳しなければならないからだ。

そもそも外国語で書かれた高級メニューの和訳というのが、とても難しい。長年添乗員をしているが、いつになっても慣れない。しかも、フランス料理には様々なものが隠し味使われていて、紙に書いてある素材が目に見えないことは普通だ。メニューを読み上げながら、どれが隠し味でそれが目に見える素材なのか、分かりにくい時もある。

「それがフランス料理の醍醐味です。美しい見た目と盛り付けはもちろん、様々な調理技法や調味料で見た目だけでは想像できない味。その説明を聞いて驚愕する。あらゆる手段を使って素材を生かすという点で、料理としての格は世界一なのです。」

と、いつかフードライターの方が教えてくださって感動したが、その「醍醐味」が、現場では添乗員を苦しめる。

そんなこんなで緊張していたら、「こんばんは。」と、日本語が聞こえてきた。

なんと!そのレストランのソムリエは日本人だったのだ!

「皆様、ようこそリヨンとこちらのレストランへ。本日、ワインとお料理の説明は、私がさせていただきます。」

ラッキー!これぞ天の助け。これで自分も楽しめ・・・いやいや、お客さんと一緒に食事ができる。
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これを、「子牛のランプステーキ、熟成されたコンテチーズとトリュフを合わせたセロリを添えたスペルト小麦、濃厚果汁のエマルジョン」とかいうメニュー名を見せられて日本語に訳せるか?エマルジョンは、この場合、ソース。ちなみに超美味い。
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テーブルの雰囲気はこんな感じだ。
スムーズで洗練された案内は、心地よく右耳から入り、料理を口に入れた途端、左耳に抜けていく。いや、美味しいから。神経が、舌ばかりに集中して耳にいかない。
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日本のフレンチはでは考えられないフォワグラの盛り合わせ。これでお腹いっぱいになった人もいた。右下に写っているのは鴨の燻製。
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デザート。メニュー名は「エギゾチックなヴァシュラン」ヴァシュランはメレンゲとホイップクリームのデザート。こういう時、「なにがエギゾチックなの?」と聞かれるのが一番困るのだが、この日は、日本人ソムリエが説明してくれた。内容は忘れた。すみません。
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コーヒー、紅茶と出されたお茶菓子。この日はお客さんが多かったせいか、こういうものはまとめて出てきた。でも、写真に撮るにはこれくらいのほうが映える。
ずっと写真を撮っているわけにもいかないから、撮影した料理の数は限られるけど、こうしてみると、やはりフランス料理は美しいな。たまーに日本でも食べに行くけど、本当、心の栄養になる。
このツアーでは、ワインも含まれていた。料理に合わせてソムリエの方が出してくれたから、酒と料理が真に一体になったものを味わえた。
いい体験でした。
お客さんたちも幸せそうでした。お腹いっぱいで苦しそうでもあったけど。

レストラン名は、リヨンのLA ROTONDE
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僕は、添乗中や自分の旅先で、静かな水面の湖や川を見つけ出会えたら、風景の映り込みを意識している。
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ロワール川がわずかに揺れているが、アンボワーズ城がきれいに映りこんでいる。空が青いと、なお美しい。
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同じ展望台から撮影した橋。見た目は、なんてことない普通の橋なのだが、こうして見ると、美しさ倍増だ。
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場所を変えてシュノンソー城。
夏場はシェール川の水が減る分、美しい映り込みを撮れる可能性が高い。
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シュノンソー城は、様々なアングルから絵になる写真を撮れる。ここは、フランスのお妃の城だったこともあり、内部の装飾もお洒落で、主に女性に人気がある。スマホでは、うまく撮れないから、ここでは載せない。
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駐車場から城まで続くシュノンソー城敷地内の林道。緑と木漏れ日が美しい。
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同じ場所でも、冬は雰囲気が変わる。緑がないのは寂しいが、木の上のほうは、夕日に赤く染まっていて、これはこれで幻想的だった。
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ロワールは、その地形と美しさからフランスの庭と言われている。天気が良い時に撮れた写真だけ載せたが、あちこちにこんな風景が溢れている。ツアーに組み込まれていたら、しっかりマークして、カメラの充電はしっかりしておこう。

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