マスター・ツートンの仁義ある添乗員ブログ

自称天使の添乗員マスター・ツートンの体験記。旅先の様々な経験、人間模様などを書いていきます。

タグ:海外旅行

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あー・・・今日はだりーぜ(写真と本文は関係ありません)

今朝見た夢は最悪だった。ツアーが再開して、モロッコに向かうはずだったのだが、なぜか僕だけ、日本出国が許されなかった。「モロッコ到着後、二週間隔離免除書類に不備がある。」と言われて茫然としていた。その後、どうなったかは覚えていない。とりあえず夢でよかった。ちなみに、そんな書類は存在しない。

 

嫌な夢を見た後の朝は、嫌なニュースばかり見た。オリンピック会場の周辺の人出は、通常の三割増しだとか。やはり無観客で正解だったのかな。

首都圏の観光地での週末の混雑ぶりなども流れていた。そう見えることろをカメラが捉えているだけと思いたいが、そうでもないような気がする。「なぜ我慢できない?」と、イライラしてしまった。

息を深く吸って、冷静になろうとした。僕もすべてを我慢しているわけではないし、テレビに映った彼らも、たまたまその日に遠出しただけなのかもしれない。

でも、なんかやるせない。

 

朝のニュースを観た後、予約してあった美容院に行った。おじさんになっても、美容院はいいもんだよ。カットはかっこよくしてくれるし、カラーは、丁寧に選んで丁寧にしてくれるし。洗髪も気持ちいい。少し若返って、嫌なニュースを心から洗い流す。

 

気分一新。その美容院に行った帰りに、必ず立ち寄る街中華で、ラーメンを食べた。さっぱりスープがうまい。ちょっと業務用スープのような気がしないでもないが、うまい。

「スープが、さっぱりして美味しいですね。」

と言ったら、

「美味しいでしょう?うちの業務用スープ。」

と、言われてしまった。やはりそうだったのか。ちょっとくらい、優しい嘘をついてよ。

 

家に着いた。オリンピックを見る。女子1500mの予選と、男子の走り幅跳びを見て休憩。楽しいのだけどね。感動にちょっと疲れ気味な自分がいる。オリンピック観戦で、そんなことを感じたのは初めてだ。たぶん、コロナと表裏一体のオリンピックを応援するのに疲れているのだろう。だとしたら、この感情は絶対に覚えておくべきだろうな。・・・と思って、ここに書き連ねた。

 

高校野球の決勝がドームで行われている。ブログをサボらずに書かなきゃと思いつつ・・・野球が気になる。でも、野球にも集中できない。仕方ないから、気分転換に家の窓を拭いてパソコンに戻った。

 

すると、同僚(女性)から、LINEが入っていた。全身脱毛を予約した?へー。でも、なぜ僕に知らせるのだろう。え?23万円!?脱毛ってそんなにするのか。それにしても、彼女の顔、腕、足、手、首元。服を着ていても見える部分だけ考えたら、とても23万円分もの毛があるとは思えない。もし、胸毛たっぷりの毛むくじゃらおじさんが脱毛したら、500万円くらいかかるのだろうか?

 

また海外旅行のオンラインイベントの知らせが来た。旅行会社から時間の知らせが来て、その後、派遣元へ正式依頼か。旅行の仕事は断れないな。

12月以降の国内添乗の仕事依頼も来た。これも受ける。国内でも旅行の仕事だから。でも、嬉しい以前に催行されるのか?心配しつつ、受けなかったらツアーが催行されても、どこにも行けないことに気付き、受けることにした。

「なぜ海外添乗員の僕に国内のリクエストを?」と思ったが、どうやら、海外旅行のお客さんの集客を狙って、僕の顔を出したいらしい。え?パンフ用の写真?困ったなあ・・・。大した顔じゃないのに。

明日、コールセンターで、若い女性スタッフから、写真の盛り方を教えてもらおう。

 

と、いろいろあったが、特に深くなにも考えない休日であった。でも、なにも書かないのも悔しいから、記事にしてしまった。読んでくださった方、ありがとうございます!

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イギリスやオランダなど、ワクチン接種が進んでいる一部の国で、コロナ感染者数が増加している。しかし、規制緩和については、ほぼ当初の予定通り進められている。理由は、「感染者数が増えても、重症化する患者と死者が減っているから。」

それでいいのかな?と、思いながら、

「確かに感染者がどんなに増えても、重症者と死者がでなかれば、風邪と同じ。」

ということに、気付いた。果たして、そこまでの状態になっているかはともかく、その決断に至ることができるくらいに、接種が進んでいるところで、ワクチンは、死者と重症者を減らしているとも言える。楽観的に思えなくもないが、今後を注視していきたい動きではある。

 

そして、このようにある程度、ワクチン接種が進んでいる国々では、接種率が5割以下の頃から、外国を含めた旅行再開のロードマップが国レベルで作成されており、これから実行されつつある。早い。

日本ではどうかというと、国レベルではないが、JATA(日本旅行業協会)が国に、その作成を、猛烈に働きかけているようだ。まだまだワクチン接種が進んでいないが、そういう動きが、どこかで起きていることにホッとする。

でも、そのような準備は、僕ら業界の底辺のものまでがしっかりやらないといけない。

だからまず、住んでいる自治体のワクチン接種が順調に進んでいて打てるのはありがたい。すでに、変異種に対しても、重症化しにくくなるという検証結果が出ている。二回接種を済ませると、半年経っても抗体は十分にあり、おそらく一年は持つだろうと言われるようになってきた。

来年になって、新たな変異種が出てきたら、三度目の接種を・・・というところまで来ているという専門家までいる。もし、それが本当に必要なのであれば、海外添乗員として三度目をすぐにでも接種できる立ち位置にいたい。

 

そして、その日が来た時に、旅行に参加していただけるお客さんが必要だ。

今日は、これからオンラインイベント。テーマはスペイン。お客さんを満足させて、満足させないように頑張ろう。完全に満足させてはだめなのだ。写真だけ見て、満ち足りてもらっては困る。行きたい!という思いを、さらに強く持ってもらわねば。

 

希望の光は、遥か遠くに見える。距離感など到底つかめないような遠くにだ。

ちょっと霧や塵がでようものなら、すぐに見えなくなってしまう、遠くに見える小さな光。

でも、そんな小さな光でも、掴むためにやるべきことはやろう。

 

オリンピック無観客を嘆いたり、なんだり毎日忙しいけど頑張ります。

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前回、けっこうなアクセスをいただいた「鏡のある風景 山と湖編」に続いて、今回は城、教会などをテーマに案内する。
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2018年4月11日。朝7時半前。春先とはいえ、日本の冬並みの寒さを感じるフランスはモンサンミッシェルの朝。宿泊している対岸のホテルを、お客さんと一緒に出て、橋の上に足を運んだ。遠目にモンサンミッシェル。手前には、この日に限って空をきれいに映す川があった。
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振り向いても、ご覧の通り。川への映り込みが彼方まで続いている。これはもしやと思い、橋を渡り切って、土手部分がモンサンミッシェルの邪魔にならないところにまで進んでいった。そして、目に入ってきたのが、
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ご覧の景色だった。静かな水面に浮かぶモンサンミシェル。ここは、映り込みのイメージが、それほどないところなので、ご一緒したお客様には、最高のサプライズになった。
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2017年10月4日。別の機会にお客さんと撮ったモンサンミッシェル。低くたちこめた雲とのコラボレーションが印象的だった。おそらく、撮っている時は意識していなかったと思われるが、多少歪んではいるものの、映り込みが確認できる。
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2017年10月5日。同じフランスでもロワール地方。シェール川に映えるシュノンソー城。かつて歴代のフランス王妃に与えられた美しき城館。アンリ二世の愛人ディアヌ・ド・ポワチエと王妃カトリーヌ・ド・メディシスのエピソードは、必ず訪問前に調べておこう。
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同じ日に撮影したアンボワーズ城。この日は、まさに無風で、ロワール川に城の姿がよく映った。同じロワールの城でも、こちらは城塞として建てたものを後世に城館に作り替えた。最初のシュノンソーは、最初から城館として建てたもので、建築由来が異なる。
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城から右手に視線を移すと、さらに美しく、足の橋が川に映りこんでいた。撮影場所は、ロワール川に浮かぶ中島。
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フランスの風景のどさくさに紛れて、大阪のユニバーサルスタジオ。きれいに撮れていたので、ここの仲間に入れてもらった。いや、だって、きれいだし、違和感ないでしょ!?2018年2月26日。
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2017年6月11日。ベルギーのオードインク城にて。今でも持ち主の貴族が居住して、庭園だけが有料で開放されている。お堀に植え込みがきれいに映りこんでいた。この風景も庭園造園時に計算していたのだろうか。
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2017年6月11日。ベルギーのブルージュからダムという街まで、運河をクルーズ。川のように流れがない運河では、天気さえよければ、最高の映り込みを楽しめる。
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2018年12月2日。ナイル川クルーズの船中より。砂漠の中。川沿いだけに広がる緑地帯の風景が水面に映えていた。ただ、この時のガイドが言うには、「これだけミラーが美しい時は、水位が低いということ。水不足だね。この後が心配。」僕らがクルーズを終えた翌日、実際にこの辺りで座礁した船が出た。ガイドの心配が的中した。
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2018年6月22日。ケニアのボゴリア湖にて。風景だけでなく、横切る鳥の群れも湖面に映えている印象的な一枚。こういう時は、自然に手が動いた者の勝ち。撮った写真は、その場で希望されらお客さんにデータをお分けした。
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日本。隅田川に映える永代橋。いつもならライトアップが、川をただ青く染めるだけなのだが、この時は、アーチの形をそのまま反射しているのが印象的だった。2020年11月17日。コロナ禍に入ってからの写真。
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映り込みは、水面だけとは限らない。2019年11月12日。バルセロナのサグラダ・ファミリア教会にて。ピカピカに研磨された床に、ステンドグラスの窓と光が映る。足元から広がる教会建築の美しさは、見事に神々しさを演出している。
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最後は、イスタンブールの空港から。珍しく空港に店を出しているルイ・ヴィトン。ここの店頭では、イスタンブールの街をテーマに様々なデザインが、店頭で入れ替わる。それがピカピカの床に映えて、ここだけ別世界の空間をつくりあげていた。

このツアー中、もっとも印象が残った風景のひとつだった。2019年5月6日。コロナ禍前、最後のゴールデンウィークツアー。

いかがだったでしょうか。こうして見ると、映りこみは風景における最高の演出主だと実感できます。この特集は、あと一回予定しています。よかったらお付き合いください。
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以前、「赤い風景」が好評だったので、今回も世界の風景を紹介していきたい。
「コロナの記録と記憶」と連載物の気分転換として、たまには海外旅行ブログらしいこともしてみようと思う。
「鏡のある風景」というのは、映り込みのこと。風景を眺めている時、気づかないうちに映りこみが、いい演出になっていることが多い。写真にしてみて、初めてそれに気付くこともある。そんな風景を二回、いや三回かな?分けてお見せしていく。

撮影は、すべてiPhone。加工は一切なし。
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まずは、なんと言ってもこの風景。ノルウェーのウルヴィークにて。ハダンゲルフィヨルドに映える雪山。2019年5月15日撮影。この日は、朝から水面が静かな状態が続き、7時45分。なにもかも止まったかのように鏡の状態になった。ノルウェーには20回ほど来ていたが、ここまできれいなミラーになったのは初めてだった。
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同じ時間帯で、周辺の風景も入れてみる。まさに鏡の状態。よく見ると、本物の山と映り込みの山の真ん中に線が一本入っているのが分かる。実は、遠くの水面には波が立っていて、それが見える。距離感を掴みにくいが、撮影地から正面の山までは10km以上の距離がある。その間の水面の状態は一様ではない。
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こんな状態は、滅多にないので、部分的にあちこち切り取ってみた。その中で、特に映り込みが美しかった二枚。
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同じ日の朝5時半くらいの写真。見栄えは先のものほどではないが、上空の雲まできれいに映りこんでいる。スマホやタブレットで見ている方は、機器を逆さまにして見るといい。まったく違和感ない。
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2019年5月15日。ウルヴィークからオスロへの移動する途中、あまりの美しさに、ドライバーがバスを止めて時間をくれた。彼自身も撮影したかったようだ。「こんなことな滅多にない」と言っていた。チリフイヨルド湖畔にて。
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本物は被写体に入れず、映りこんだ雲だけを撮影したもの。上の山の部分を隠して写真を見ると、森の中から空を見上げているようなアングルになる。
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2019年1月18日。場所は変わって、クロアチアのプリトヴィッツェ国立公園。自然の風景と歩く人々の姿が、見事に映りこんでいる。実際も、上と下で、別の世界が同時進行しているかのような風景だった。
この日は、雲が立ち込めていた。こんな天気の時は、無風なことが多いので、映り込みを意識していると、いい風景に出会える。晴天時、雲が流れている時は、あまり期待できない。ミラー現象を期待している時は、そよ風さえ強風だ。
晴れていて、且つ映り込みが美しい時なんて、まさに奇跡なのだ。だからこそ、最初のフィヨルドの風景は価値がある。
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2016年3月5日。同じくプリトヴィッツェ国立公園。電気ボートがあまりにもきれいに映りこんでいたので撮影した。
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2018年7月21日。オーストリアのハルシュタットにて。パッとしない天気だったけど、低い雲や湖畔に広がる街並みは、きれいに撮れた。
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2019年7月30日。ツェルマットから山岳鉄道を利用してゴルナーグラート山頂まで登って宿泊した翌日。ローテンボーデンからリッフェルベルクまで歩いた。その間の風景。上がモンテローザ。下がブライトホルン。
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同日のマッターホルン。天気に恵まれた中で、マッターホルンだけは、なかなか姿を現してくれなかったが、なんとか映り込みを撮れたので、みなさんギリギリ満足されていた。
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同じマッターホルンでも、こちらはイタリア側から。山頂の形で分かるものの、何も言われないと別の山に見える。こちらは見事な映り込み。2015年5月30日。
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2017年9月25日。サンモリッツから氷河急行で移動してきて、ツェルマットまで行かずにアンデルマットで降りる。ツェルマット手前のテーシュまでバス移動したが、その途中の風景
。トーテン湖畔にて。実は、背後は駐車場とトイレ。山の名前は分からない。
美しい風景があるのは、有名な場所だけとは限らない。
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ノルウェーのヴォス近郊にて。静かな湖面に見事に風景が映えていた。2018年5月21日。
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透明度が高い湖の浅瀬。静かな湖面に映える山。湖面の底に景色があるようにも見える。2015年5月28日。イタリアのコルティナ・ダンペッツォ近郊にて。
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北イタリアのドロミテ街道沿い。カレッツァ湖畔で撮影したドロミテ山塊とその映り込み。2018年7月26日。
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最後は、最初にお見せしたフィヨルドのパノラマ写真。ただし、撮影日は2019年7月16日。

以上、山と湖(フィヨルドも入りましたが)の映り込みの風景は、いかがだったでしょうか?ひょっとしたら、ツアー中に、同じ風景を楽しんだ方もいらっしゃると思い、今回は日にちを詳しく入れております。
また、別バージョンの映り込みも特集しますからお楽しみに。
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皇室がオリンピックの開催について言及した。天皇陛下の生のお声ではなく、宮内庁長官が、国民にお伝えくださる形ではあったが、

国民の間で不安の声があるなかで、ご自身が名誉総裁をおつとめになるオリンピック・パラリンピックの開催が感染拡大につながらないかご懸念されている、ご心配であると拝察をいたします

とあった。そのうえで長官は、ご自身の意見として「万全な対策を期していただきたい」と述べられた。

僕の中では、かなり強いインパクトだった。皇室が、国民に対する労いや形式的なものではなく、意見として政治についてコメント出すのは(オリンピックは、もはや完全に政治)、いったいいつ以来なのだろう。オリンピックでは、天皇陛下が名誉総裁をおつとめになるから、この状態でなにも言わないわけにはいかないという事情もおありだったろうが、それを差し引いても、驚いた。

政府も、さすがに皇室のコメントに対しては、ただ開催をごり押しするような物言いはしなかった。開催の可否に触れることはなく、「宮内庁長官ご自身の考え方を述べられたと承知している。」とした。

 妙な言い方だが、皇室と政府関係者の間接的なやりとりをメディアで拝見して、オリンピックの開催が間近に迫っていることと、その恐怖を実感してしまった。

以前、ここにも書いたが、祝福されない世界最大のスポーツイベントを憂う気持ちと、旅行業界内における仕事の確保という観点で、開催を願う気持ちが、僕の中では混在していた。

そして、初めて憂う気持ちが勝っていることを、この会見で自覚してしまった。

今月いっぱいで、コールセンターに出向で来ていた一人が、自分の会社に帰る話を、以前ここに書いた。彼女が帰る先は空港業務だ。素直に「怖い」と言う。

 開催の恐怖を煽るかのように、東京の新規感染者数は、また増え始めた。いつものことだ。それもじわじわではなく、ここ二、三日では急増だ。


それでももはや、開催は免れないだろう。ここから先は、政府どうのこうのではなく、現場が、どこまで対応できるかだと思う。

旅行業界から、オリンピック業務に赴く人たちの中には、gotoキャンペーンで、国内添乗をこなした添乗員もたくさんいる。

彼らは、事前に立てた感染予防対策を現場で行い、より実践的なものにして、フィードバックした経験がある。

JOCも、しっかりと対策を立てているだろうが、細かい部分で、現場を経験している者たちの言葉に、少しだけでも、耳を傾けて欲しいと願っている。

彼らが感じている不安や恐怖感は、感染拡大を防ぐ要素にもなると、僕は信じている。


言い直しておこう。憂う気持ちは大きいが、開催を願う気持ちが消えたわけではない。選手も関係者も、関わる添乗員仲間、みんな無事であるように祈る。

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取引先の人間や知り合いの添乗員が、海外旅行の仕事をあきらめたという噂を時々聞く。

コロナ禍が始まって以来、業界の親しい人とは時々連絡を取っていたが、だんだんと、それが同じ派遣元の添乗員に絞られていき、ここ最近では、取引先関係や別の派遣元の添乗員とは、やりとりがなくなっていた。

怖かった。今は、業界の誰と連絡をとっても、いい状態ではあることなどありえないし、仕事に充実していた人たちが、海外旅行業をあきらめる決心を目の当たりにするのが嫌だった。

昨日、大切な取引先の担当者から、退職の知らせが入った。僕にとって、年に一回だけだが、特別な仕事を依頼してくださっていた方で、言葉で表わせないほどショックな出来事だった。メールの中の、丁寧な挨拶文の中に、彼の重い決心が垣間見えた。

まだまだ再開が見えないこの業界では、これからもこんなことが続くのだろうか。

 

一方で、7月には、別の取引先で海外旅行のオンラインイベントの仕事が二本決定した。いつも仕事をする度に「次回も割り当てがありましたら、よろしくお願いします。」と言われて、本当にあるのか毎回緊張しているのだが、今回ももらえてよかった。

僕自身にとって、決して他人事ではない、取引先担当者の退職。常に不安が駆り立てられる状態の中で起きた、具体的な出来事。動揺している心に、自分本来の旅行の仕事は、大きな精神的支えになる。

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-japan-vaccine-status/

上のURLは、日本経済新聞が出している、ワクチンの接種率。619日時点で、65歳以上の少なくとも1回接種率が44.7%。2回接種が12.4%。総人口では1回が17.3%。2回が7%。間違いなく加速はしているが、まだまだ先は長い。

 

6月15日。住んでいる自治体から、64歳以下のワクチン接種券発送の知らせがLINEで届いた。

しかし、何十万通もの郵便物が、1日で全て配布されるわけでもなく、未だに届かない。

配達次第予約しようとしていた、大手町の大規模接種会場は、自分の接種券が届く前に満員となった。次のスケジュールは未定。

行動する意志があるのに動けない。コールセンターの仕事中、電話の向こうでイライラしている人たちの気持ちが、少しわかったような気がする。


現実は厳しい。
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おまけ。昨日の門前仲町の夕景。
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できる男たちの結婚事情① プロローグと人物紹介 : マスター・ツートンの仁義ある添乗員ブログ (livedoor.blog)

登場人物は、上のリンクをご覧ください。

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「いつか香織さんが、どちらかと言うと、自分のほうから惚れたって言ってたけど・・・それにしても、うまくいく時はいくもんだな。信じらんねーよ。」

「うまくいかせたんだよ。・・・あ、すいません。アイスワインをグラスでください。」

ラストオーダーの時間が近くなってきて、桐生は甘口のワインをオーダーした。

「アイスワインはありません。アウスレーゼならご用意できます。ベーレンアウスレーゼも出せますよ。」

「じゃ、ベーレンアウスレーゼを。」

仕上げの甘口の白ワイン。いずれも遅摘みのブドウから醸造するものだが、冬にブドウを凍らせてからつくるアイスワインは、最近の地球温暖化で極端に生産量が減った。同じようなものでも、最近は、単純な遅摘みぶどうで醸造するアウスレーゼや、貴腐ワインに当たるベーレンアウスレーゼが主流だ。

「アイスクリームと甘口のワイン?・・・・・・そういえば、よく聞くな。」

国定が、一瞬不思議そうな表情をしてから、なにかを思い出したような言い方をした。

ベーレンアウスレーゼは、ワイングラスでなく、小さなショットグラスでサービスされた。

「え?なにこれ?ウォッカなんてオーダーしてませんよ。」

桐生が、皮肉をこめながらウェイターに文句をつけた。

「ボトルにこれしか残っていなかったんです。チーフが、新しいのを開けてもいいけど、残っているこの量だけならタダでいいと言っています。アイスクリームにちょっとかけるだけなら、これくらいで十分ではないかと。」

桐生は、顔をあげて、店の奥にいるチーフらしき人にお礼を言った。

「ありがとう。」

そして、ショットグラスのベーレンアウスレーゼを自分のアイスクリームに半分かけた後、国定にすすめて、彼のものにもかけた。

「甘さに甘さを合わせたのに、少しもしつこくなく、より上品な仕上がり。ドイツの、こんな夜の仕上げにぴったりです。いかがでしょうか?」

「まあまあかな。」

桐生ほどアウスレーゼを好まない国定だが、それなりに美味しくは感じていたようだ。ただ、それよりも桐生の話の続きが気になるのか、軽いリアクションしかしなかった。桐生は続けた。

「俺たちは、ふだん日本にいないから。一回一回のデートの比重が、ふつうの会社員に比べたら遥かに重い。だから、その度に絶対に収穫を得ないといけない。それまでの彼女で、それに痛いほど気付かされていたから。」

桐生は、これまで友人や同僚の紹介、時にはマッチングアプリで何人かの女性と付き合ったり付き合おうとしたりしてきたが、彼のスケジュールは、多忙なうえに不規則だったため、なかなか相手と予定を合わせることができなかった。

タイミングがあまりに悪いと、初対面で印象がよくても、何度か取る連絡の中で都合が合わず、そのまま音信不通になったこともあった。

「この女性とは気が合う!」と思ってLINEを交換してから一か月半後に、ようやく会える機会ができたと思ったら誘いを断られ、たまたまその日に、女性が別の男性と歩いているところを見かけてしまって、傷ついたこともあった。

「会える時間が計算できない人とは付き合えない」と、露骨に断られたこともある。

 

かつて、学生時代から付き合っていた彼女からも、「会える時間が少なすぎる」と言われて、社会人になって二年目で振られた。そういった自分の恋愛事情で桐生は悟っていた。

「俺たちに彼女ができても、いきなり最初から遠距離恋愛なんだよ。そして、恋人でいる限り、永遠の遠距離恋愛なんだ。だから、初対面で、かなり強い印象を与えておかないと、すぐに忘れられてしまう。『あ、この人いいかも』くらいの軽いのじゃだめなんだ。」

香織と初めて焼き鳥屋に行った時、ドラマの中のような、スマートな押しを見せた桐生だが、それは過去の苦い経験から来たものだった。心の中は、一生懸命で「ぐいぐい」状態だったのだ。

「香織が、俺に好感を持っていたのは、なんとなく分かっていた。だから『自分も会いたい』気持ちを伝えるのに、いっぱいいっぱいでさ。まるで青春のような恋の始まりだよな。」

急に恥ずかしくなったのか、苦笑した。

「もし、最初の印象で、押しの強さに、逆に引かれちゃったらどうするつもりだったの?」

「あきらめてたと思う。」

「え・・・まじで?」

「今までの経験で、たまにしか会えない自分の恋愛に『徐々に』とか『だんだんと』っていうのは、通じないことがわかってたから。押して受け入れてもらえなかったら、それで終わりだと割り切ってた。」

「なるほど・・・そのあと、香織さんに会えたのって、どれくらい経ってからだったの?」

「一か月は経ってたな。一か月半は経っていなかったと思う。」

「え?そんなに?」

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最初のいきなりデートの後、桐生の日本滞在と香織の休日はなかなか重ならず、一か月以上が過ぎた。LINEや電話でのやりとりは、なんとか続いていたものの、桐生には焦りが、香織にはある種のあきらめ感が出始めた。

桐生は行動に出た。香織に仕事が早く終わりそうな日を聞いて、待ち合わせしようとした。

「仕事から帰る時、10分間歩きながら話すだけでもいいじゃありませんか。」

これまで付き合った彼女と、明らかに違った条件のひとつに、お互いの家が近いというのがあった。徒歩10分少々の距離だ。デートで一日、半日過ごせなくていい。わずか1時間の簡単な食事でもいい。仕事帰りの僅かな散歩でもいい。家が駅で三つも離れていたら実行する気になれなかったかもしれない。しかし、歩いて10分少々の家の距離は、桐生のフットワークを軽くさせた。

 

そして、桐生のツアー出発前日に、その機会がやってきた。

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できる男たちの結婚事情① プロローグと人物紹介 : マスター・ツートンの仁義ある添乗員ブログ (livedoor.blog)

登場人物は、上のリンクをご覧ください。

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「あら、ステキなお店ですね。」

店に入るなり、明るい笑顔で言った。

「ここって、本当に焼き鳥屋?」

「そうですよ。鳥を焼いているでしょ?なにに見えますか?」

「えーと・・・焼き鳥を出してくれる、おしゃれなお店。」

「そういうの、焼き鳥屋って言うらしいですよ。」

ショットバーのようなコの字のカウンター。椅子はゆったりと、十分な間隔をとって置かれている。4人掛けの木のテーブルは2つだけ。一見シンプルでエレガントだが、明るく清潔な雰囲気が同時に存在していた。そんな中、モダンジャズが静かに流れている。

まだ6時前と早く、他に客はいない。二人は、カウンター奥の、落ち着ける場所に案内された。

桐生は、よくここに通っているようだった。スタッフの誰もが親しげに挨拶してくる。

この日のスタッフの対応は、いつになく親切だった。席への案内も、マスターのおすすめ料理の説明も、いつもより丁寧だ。珍しく女性を連れてきた桐生に、気を遣っているのだろうか。

「親切なお店ですね。雰囲気もいいし、女性だけでも気軽に来れそう。」

「いつでもどうぞ!」

香織の言葉に、マスターが元気に反応した。

カウンターが混んできて、店内が活気を帯びると、また別の雰囲気になってくる。スタッフも客も、あまり声が大きくなり過ぎないようにする演出だろうか。少し音楽のボリュームは上がったが、かかっているのは、静かなモダンジャズのままだ。

 

塩味の焼き鳥に、キリっと冷えた白ワインを合わせて、おしゃれな大人の食事の時間を楽しむ香織。

「よくいらっしゃるんですか?」

ワインで、少し顔を赤らめながら桐生に尋ねた。

「月に一回か二回です。ふだん日本にはいることが少ないですから。」

「じゃあ、日本にいる時は、いつもいらしてるイメージですね。」

「そうですね。どうしても日本にいる時は、和食にこだわちゃうんですよ。仕事を終えて、空港の税関を過ぎた瞬間に、急に寿司や焼き鳥を食べたくなるんです。この仕事を始めた時から、それだけは変わりませんね。」

「なんか、分かる気がします。でも、この店なら、日本にずっといる私でも、たまに来たいなあ。」

「喜んでいただけて嬉しいです。今日は楽しいな。」

「私もです。」

香織が、テンションを高くして言った。

「イギリスのパブの時も楽しかったけど、今日も楽しいわ。あ、パブでのことは、桐生さんは覚えていらっしゃらないんですよね。ちょっと寂しいなあ・・・。」

茶寮で、すぐに桐生が、自分のことを思い出せなかったことが頭に浮かび、残念だった気持ちを、つい口に出てしまった。しかし、桐生は悪びれずにこたえた。

「すみません。あの時は、仕事だったから。」

「それはそうですよね。」

事務的に聞こえる桐生の言葉に、香織は少しがっかりした。

「ああいう時は、お客さんが楽しんでるかどうかだけを気にしています。自分の案内や演出が受け入れられているか、それが全てです。」

桐生は、ツアー当時と今の、自分の立場の違いをはっきりと説明していた。少し寂しそうな表情を浮かべる香織に、逆に自分からは何の感情もこめずに冷静に話した。

「ツアー中は、香織さんはお金を払って旅行されていました。私は、同じイギリスにいても、旅行をしながらお金をもらっているんです。どんなに親しくしてくださっても、立場が対等になるはずがありません。どんなによくしていただいても、ツアー中に、お客様と添乗員が、友達にはなることは決してありません。」

香織は、ハッとなにかに気付いたような顔をして、グラスをそっとカウンターの上に置いた。

「実は、パブなどへのご案内は、時間がある時にはよくするんです。五大陸旅行社では、それが奨励されていますから。お客さんたちは、とても喜んでくださるし、それは私も嬉しいから前向きな気持ちでサービスしています。まあ、言ってみれば、お客様にとっては特別でも、私にとってはいつもの作業なんです。」

「言われてみればその通りだわ。たくさんあるお仕事の中で、あの時のことだけを覚えているって、あり得ないですよね。」

理屈と現実をともに理解して受け入れた。香織にとっては、見るべきでない舞台裏を覗いてしまったような気分だった。

「はい。すみません。」

謝ってはいるが、申し訳なさそうな感じは一切見えない。桐生にとっては、この時からが勝負だった。

「でも、今は違いますよ。」

「え?」

「今は、お客と添乗員の関係ではありません。その関係にあったのは、ツアー中の10日間だけです。今は、完全に対等な関係です。ここでの食事を一緒にすることで、私がギャラをもらってるわけではありませんから。」

「・・・はい。」

「『仕事』というフィルターを外して松本さんとお話したのは、さっきが初めてです。ある意味、さっきの茶寮で、初めて、私は松本さんとお話したんです。」

「はい。」

「とても楽しかったです。もっと話したいと思って、食事にもお誘いしました。」

「え・・・ありがとうございます。」

香織は、少しドキドキするのを感じた。

「これからも会っていただけませんか?」

「え?」

「これからもお会いして、いろいろお話して、松本さんのことをもっと知りたいです。とりあえず、フェイスブックで繋がってますけど、LINEのアカウントを交換しましょう。連絡しやすいように。だめですか?」

「いえ、喜んで。こちらこそよろしくお願いします。」

遠回しな表現が一切ない、真っ直ぐな桐生の言葉は、恋愛偏差値35の香織の心を見事に射抜いていた。

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できる男たちの結婚事情① プロローグと人物紹介 : マスター・ツートンの仁義ある添乗員ブログ (livedoor.blog)

登場人物は、上のリンクをご覧ください。

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桐生は、香織をテーブルに誘い、香織は、「いいんですか?」と形だけ遠慮してから、喜んで同席した。彼女にとってこの再会は、この年で一番の嬉しいサプライズだった。お付き合いしたいとか、いい出会いにしたいとか、そんなこと以前に、「あの桐生さん」に再会できたことがうれしかった。

桐生のトークは、イギリスで案内をしてもらった時と同様にウィットに富んでいて、とても楽しいものだった。

添乗中に見た、現地の風景や、いろいろな客や現地ガイドとのエピソードが出てくる。桐生の訪問国数は、20代後半のこの時点で80ちょっとあったらしい。スイスからフランスへ。フランスからチリとアルゼンチンへ。そこから南極に飛んでさらにケニア、南アフリカ、モロッコ、そしてアジアに渡ってインド、カンボジア・・・。

小さな茶寮の中で、二人の会話は世界中を駆け巡っていた。桐生の聞き心地よい声と、巧みな話術で、香織には風景が見えてくるような気がした。

「あの、大丈夫ですか?アイスが溶けそうですよ。」

話を途中で止めた桐生に言われて見ると、抹茶ソフトクリームが、かなりあんみつに溶け込んでいた。

「やだ。せっかくの抹茶ソフトあんみつが。」

香織は照れくさそうにしながら、急いで溶けた抹茶ソフトクリームをすくいながら食べた。

かわいらしかった。ちょっとした仕草のひとつひとつが、彼の胸をトクッと鳴らした。

「私の旅行の話、面白いですか?」

「ええ。とっても!」

一回で取り切れなかった溶けた抹茶ソフトを、もう一度スプーンですくいながら、香織はこたえた。

「マチュピチュとウユニ塩湖の話は、イギリスのパブでも聞きましたけど、二度目でも面白かったです。」

少し悪戯っぽい香織の物言いに、桐生は苦笑した。

「え?あの時も話しました?」

「はい。してました。でも、面白いです。もう一回してもいいですよ。」

ニコニコしている香織の笑顔は、さらに桐生の気持ちを惹きつけた。

「じゃあ、またそのうち。大切な持ちネタなんで、もっと磨いておきます。」

「楽しみにしています。」

恋愛経験も男性経験も乏しい香織だが、男性相手に話ができない訳ではない。見た目のかわいさいのおかげで、医学生の時には、男性陣にそれなりにチヤホヤされていたから、それなりの立ち振る舞いは覚えた。

ただ、恋愛の感性だけは、まったく育たなかった。本人に自覚がないだけで、それなりにモテていたのだが、男性からのサインに、まったく気付かなかった。本人は「中高が女子校で勉強と習い事に忙しかった」と言ってはいるが、天性の鈍感さも、かなり大きく関係していた。

だから、香織本人が「ステキ」と思っている一方で、桐生が彼女にトクッと胸を鳴らしているこの時は、恋愛を始める大きなチャンスだった。でも、お互いに惹かれ合っているところまでは、まだお互いが確信を持っていない。

 

時計が夕方5時を回っていた。香織は、時間を忘れて話に夢中になっている。桐生は、時間を把握しながら、もう少し香織と一緒にいたかった。そして、これからも会えるように、なんとかして、LINEのアカウントを教えてもらいたいと思っていた。

10代の頃から、それなりに恋愛をしてきた桐生には、常識的な勘が働いた。「声をかけてくるくらいだから、松本さんは、少なくとも俺を嫌ってはいない。」そんな読みが、彼を動かした。

「ちょっと早いけど、夕食にお付き合いいていただけませんか?今日は、外食で済ませてしまおうと思ってたんです。」

「あ・・・はい。何を召し上がろうと思ってらしたんですか?」

「焼き鳥です。近くにいい店があります。」

「焼き鳥?」

ちょっと驚いて、眉間に皺を寄せた香織の表情を見て、すぐに桐生はフォローを入れた。

「オシャレな焼き鳥屋があるんですよ。お店はこぎれいで、酒の種類が、とにかく豊富なんです。」

浜風が開店するまで、桐生が通っていた店だった。

「焼き鳥は好きですけど、それ以外もありますか?」

「もちろん。サラダもお刺身も、締めの焼おにぎりも、鳥雑炊もあります。女性が好みそうなデザートもいくつかありました。」

「じゃ、ご一緒させていただきます。ふふふ。楽しみです。」

「そんなに焼き鳥がお好きなんですか?」

「焼き鳥も好きですけど、桐生さんが箸を使って、食事するのを見るのって初めてです。なんか新鮮です。」

桐生は、「変なことを言う人だな」と思いながら気づいた。

「そうか。イギリスのツアーでは、和食なんてなかったですもんね。確かに箸は使いませんでした。これは気が付かなかったな。箸での食事は久しぶりだな。大丈夫かなあ。うまく使えるかなあ。」

わざとおどけるように話す桐生に、香織はクスクスと笑い出した。

10月の土曜日の夕方。二人は、永代通りにある焼き鳥屋「色鳥々」に歩き始めた。

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最近、時々ここに来てブログを読んでくれている人が、「朝焼けや夕焼けの風景が大好き」と言ってました。
その人、コールセンターに出向で来ていて、一緒に働いていて、お世話になっているのだけど、今月で終えて、元の仕事に戻ってしまうそうだ。自分が知らない職場の話をたくさん聞けて楽しかったな。
ということで、今日はその方に捧げる赤い風景特集。枚数が多いから、暇なときにコーヒー片手にご覧ください。家で休んでいる時とか、なぜか仕事が暇になっちゃったときとか、たまーに、コールセンターに電話がかかってこない時間帯などありましたらぜひ(それはないか)。
スマホでもいいけど、パソコンだと写真を大きくできて楽しいです。
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まずは、2014年の1月。イタリア南部のサレルノ街から。ホテルから眺めた朝焼け。朝7時過ぎ。朝食を終えて部屋に帰ると、真っ赤に染まった雲が目の前に広がっていた。こんな雲は、絵画作品の中でしか見られないと思っていた。これを撮ってすぐ、ホテルから出て、空が広いところで撮影しようとしたが、出た時はすでに、この色はなくなっていた。一瞬の究極の朝焼けだった。
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東京都江東区の門前仲町。2015年6月27日。この日は朝から大雨だった。夕方、太陽が顔を出すと、関東一円で美しい夕日と夕焼けが見られて、フェイスブックなどのSNSでは、あちこちで、こんな写真が投稿された。二枚目。大横川に真っ赤な空の色が映えている。
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2015年9月7日。ギリシャはサントリーニ島のフィラの街より。海抜300mの断崖絶壁の上から、海を見下ろしならがら夕陽を望む。赤く染まったエーゲ海を「ぶどう酒色のエーゲ海」というけれど、これは観光局や旅行会社が考えたキャッチフレーズではなく、紀元前8世紀の吟遊詩人ホメロスの表現。なお、彼の著書で見られる「葡萄酒色のエーゲ海」は、必ずしも夕日に赤く染まったいるというものでないらしい。それを知った時にはショックだったなあ・・・。シルエットは、中国人夫婦。新婚さんだった。お断りして自然な姿でモデルになってもらった。顔がうつってなくてごめんね。ちなみに、このテラスで飲むコーヒーのお値段は、銀座の高級カフェ並み。味は普通。
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2015年11月23日。ロンドン郊外にあるラマダホテルにて。ただ、空がきれいだったので撮影した。木があって、街灯のシルエットが飾りのようにあって、東の空が真っ赤だとこんな写真になる。朝焼けの美しさは、場所を選ばないから空がきれいだったらカメラを向けてみよう。僕が言うのもなんだけど、写真は撮り方。僕の背後が、実はホテルの駐車場だなんて思えないでしょ?
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2017年6月10日。ベルギーのブルージュより。夕食後の散歩時、21時30分から22時までの間に撮影。欧州でも北に位置するベルギーの夏は、なかなか太陽が沈まない。街が赤くそまっている時間も長い。
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ずっと真っ赤だったから、ちょっと気分転換。2016年6月5日。北アイルランドのベルファスト近郊で撮った。西の空の地平線に落ちていこうとしている太陽の光が雲にあたり、雲の影を空に見られた珍しい写真。
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ポルトガルのナザレ。雲の帯に隠れた太陽が、水平線に落ちる直前に顔を出すと、辺りを赤く染めた。太陽が落ちていく海は大西洋。
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2018年12月18日。モロッコのマラケシュのホテルより。アトラス山脈の上に雲が立ち込めて、真っ赤になっていた。お客さん曰く「最初、火事だと思った。」
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2019年2月8日。ヨルダンのワディラムにて。砂漠の岩山を、朝陽が山頂から赤く染めていく。白い球体は、観光客が宿泊するテント。夜は、ベッドに寝ながら砂漠の星空を眺められる。
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2019年11月25日。クロアチアのトロギールより。水面が静かで、西の空の色をそのまま映していた時。空気までもが赤くなっているような気がした。
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2019年12月22日。エジプトのアブシンベルのホテルにて。砂漠に覆われたナセル湖周辺は、空が広い。過ぎ行く時間の中で移り変わる空の表情を、すべて見られる。青が紫に、ピンクが少し入って来て、最後に赤くなる。静かな湖面が、鏡のようにそれをうつす。
全てが落ち着いた時、赤い湖面をボートが横切っていった。
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その翌日。12月23日早朝。朝日を浴びるアブシンベル神殿。この風景は有名だけど、この時間帯の神殿内部も、赤く照らされていて、また美しい。
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2020年12月21日。鳥取県の大山ロイヤルホテルの一室より。雪に覆われた森林と大山。山が夜明け前と日の出の世界の境界線となっている。
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南フランスのニースの海岸。朝日が地中海を赤く染めている中。一筋の光の帯に小船がおさまった時、なんとなく神秘的だったので撮った。
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2018年6月21日。ケニアのナクル湖国立公園にて。大自然の中の夕陽。よく見ると、すぐ目の前に数十頭のバッファローの群れがいる。
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2014年11月6日と2020年11月20日。スペインのバルセロナにあるサグラダ・ファミリア教会の内部。午後3~4時くらいに訪れると、このようにステンドグラスの光を堂内で楽しめる。丹念に磨かれた床のおかがで、なおそれが映える。
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2015年10月15日。雨上がりのプラハ。夕方、雲から溢れる弱い赤い光が、街をいつもと違う色に染めていた。
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2019年10月14日。プラハのカレル橋より。夕日とライトアップで赤くなるプラハ城。モルダウ河畔の美しい風景。
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2018年11月28日。ナイル川クルーズの船上より。いずれの写真からも、緑地帯のシルエットがうかがえる。砂漠のイメージであるエジプトだが、水際だけは緑豊かな農業地帯で、集落もある。
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2017年12月14日。ブルガリアの首都ソフィアより。時間は朝8時20分。起伏が激しい市街地で、このアレキサンドル・ネフスキー寺院は、一番高い位置にある。まだ、周辺に陽が当たる前、ここが真っ先に輝き輝き始める。
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2017年12月15日。北マケドニア共和国のオフリドの街と、オフリド湖の風景。二枚目の写真。湖の向こうに見えるのはアルバニアの共和国の国土。夕日で赤くというより、金色に輝いているように見える。
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ちょっと気分を変えて、違う赤を。2019年9月19日。ホテルすぐそばにあったアパート。蔦が見事に紅葉していた。
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2019年2月11日。ヨルダンの死海沿岸のケンピンスキーホテルにて。ここは、洗礼者ヨハネがキリストを洗礼した場所のすぐ近く。そのせいか、一枚目の写真。雲から溢れる光は、天国の入り口がそこにあるかのような気にさせる。・・・なんてね。
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2018年2月18日。イタリアのバーリからギリシャのイグメニッツァにフェリーで着く。朝5時半。まだ暗い中、バスでのドライブを始めて休憩時、幻想的な雲を見た。メテオラに着く1時間ほど前。
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2019年7月26日。スイスのクライネシャイデックの山岳ホテルより。ブライトホルンの背後から日が昇ろうとしている。
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2016年7月18日。スイスのウェンゲンより。朝日を浴びるユングフラウ。
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2017年9月25日。スイスのツェルマットより。お馴染み朝焼けのマッターホルン。この日は、それほど赤くならなかった。
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2018年12月17日。モロッコのマラケシュより。ジャマ・エル・フナとその周辺は、毎日夕方から賑やかになる。この夕焼けは、一日の終わりではなく、宵の口。
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2017年11月19日夕方。モロッコのカスバ街道沿い。仕事を終えた農夫が、家に帰っていく。
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2017年11月19日早朝。モロッコのサハラ砂漠内。メルズーカ砂丘にて。見事な朝陽が見られた後、新婚夫婦に協力してもらった。砂を手で救って、滝をつくる。愛を誓った黄金の滝。もちろん、本人たちのカメラでも撮って差し上げた。
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同日の日の出前。砂丘に、ラクダの力を借りて登る。僕は、乗らずに写真を撮る。
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2018年1月3日。オランダのキンデルダイク。オランダで風車を見るのは簡単だけど、美しく撮れる場所は、意外に少ない。冬の朝、太陽が昇って間もないこの時間帯に、これまでのツアーであれば、絶対に撮れない写真を撮影できたことは嬉しかった。
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2016年5月。アメリカのアンテロープキャニオン。こんな素敵な風景は、写真の中だけ。肉眼だと全然違うのは、ここだけの話。
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2020年2月22日。現時点では、僕の最後の仕事だったアフリカツアー中の写真。ボツワナのチョベ国立公園から。チョベ川をクルーズして野生のカバ、ゾウ、ワニ、バッファローなどの動物を見て帰ってくる。先ほどのモロッコと違って、こちらでは、赤い空は一日の終わりのお知らせ。対岸はナミビア。
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同じツアー中。2020年2月27日。アフリカはナミビアのナミブ砂漠にて。赤く染まった樹木の背後にヌーが数頭。宿泊しているコテージから見えたので、つい100mほど歩いてここまで来てしまった。
「そこは動物の場所だから、だめです!戻ってきて!」
と、ホテルスタッフから注意された。そりゃそうだ。どうもすみません。人間と動物の世界には、見えない境界線がある。
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その後、日が傾いてくると、ご覧の通り劇的な夕景になる。
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そんな中でいただく屋外バーベキューが、また趣深いのであった。

かなり大量な写真でしたが、お付き合いいただいてありがとうございます。
今回、この記事をつくって思いましたが、朝日夕日と言っても、世界中で様々な赤がありますね。
なんだか、ますます仕事への思いをかき立てられましたよ。この写真を見た皆さんが、旅への希望を失っていないことを願うばかりです。
また、若者たちが、「添乗員の仕事っていいなあ」と思ってくれることを祈ります。君は、必要とされているから、コロナ禍が収まって、その気になったらいつでもおいで。
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