洞窟ホテル。谷間の洞窟がホテルルームになっている。添乗員部屋がある谷底から撮影。最上部まで部屋。
夜は雰囲気が変わる。
どの旅行会社のトルコツアーでも売りのひとつになっているカッパドキアの洞窟ホテル。
実は、けっこうな添乗員泣かせの代物。写真で見るときれいなんですけどね。実際泊まってみるといろいろあるものなのだ。
部屋の作りはひとつひとつ全て違うし、石灰岩の洞窟の中はけっこうな湿度があるし、本当の洞窟となると、時々天井から石灰がポロポロ落ちてくるし(気の利いたホテルだとそれを避けるために天蓋もどきの布が広げられている)、奥まった寝室にはWIFIが入ってこないし。
パンフレットに記載されている洞窟ホテルの写真は、とてもきれいに撮れている見合い写真やマッチングアプリのプロフィールのようなものだ。あの通りだと期待してはいけない。
チェックイン時の添乗員はいつもドキドキだ。言葉を慎重に選ぶ。
「天然の洞窟を利用しているので部屋ごとにつくりは違います。ただし、悪いお部屋はありません。いいお部屋と、ものすごくいいお部屋があります。」
安易に「格差」という言葉を使わない。お客様が「外れ」を連想してしまうからだ。実際、どの洞窟ホテルもある程度の高級感を売りにしている。その人の感覚にもよるが、基本的に悪い部屋はない(たまにある悪い部屋には添乗員が泊まらされる)。
今回のホテルはけっこうな当たりだった。だが、それでもその良さをわかっていただくのは難しい。
「この湿気、なんとかなりませんか?」
ならない。ただし、湿気はその時の条件にもよる。今回は、特に大雨の後に泊まったから石灰岩が余計に水分を含んでいたかもしれない。また、部屋の位置によってもだいぶ違う。あまりにひどい場合は除湿器が置かれていることもある。
「部屋はいいんだけど、この匂いなんとかならない?」
これもなんとかならない。湿気のある部屋特有の匂いは確かに気になる。湿気と匂いは写真に写らないので、お客さんたちが一番ショックを受けるところだ。
「窓が入口にしかないんだけど・・・。」
そりゃそうだ。洞窟だもの。あちこちに窓があるわけがない。
「部屋の中に段差がありすぎなんだけど。これだとスーツケースを玄関に置いておくしかないわ。窓も小さいし牢獄みたい。」
と、ご年配夫婦から言われた。はい、確かに段差が激しかった。窓も小さかった。でも、洞窟なので・・・。いい部屋なんだがなあ・・・。
石灰岩が水分を吸収することも、洞窟に窓がないのも段差も、「言われてみればそうだ」という話なのだが、事前に意識することは難しい。
ちなみに、ホテル内には増築部分の部屋もある。つまり洞窟ではない部分だ。僕個人的にはこちらのほうが好みだ。窓はあるし、むやみに湿気はないし、とても快適だ。本物の洞窟よりも洞窟風の部屋のほうが過ごしやすい。だが、そこに割り当てられてしまった方々は
「せっかくこういいうところに来たのだから、本物の洞窟に泊まりたかったなあ。」
となる。気持ちは分かる。一方で湿気や匂いを気にされる方々は「洞窟風の部屋のほうがよかった」と言い出し始める。
結局はないものねだりなのだ。お互いの声を聞いて本人たちもそれに気付く。だから、誰も本気で「部屋を替えてほしい」とは言ってこなかった。最終的には「住めば都」という感じで慣れてくる。そして、大体においていい思い出となっていく。きっとそれが一番の正解だ。文句を言い過ぎて自分が選んだ旅の価値を下げることはない。
部屋割りは、公明正大にくじ引きで決める。恨みっこなしだ。お互いの部屋は見せ合わないほうがいい。せっかくいい部屋に泊まっても、ものすごくいい部屋を見てしまったら嫉妬心が浮かんでくる。添乗員もお客さんたちのそんな表情を見るのは辛い。
ちなみに今回は添乗員もいい部屋をもらえた。
入ってすぐ。玄関から。居間があり奥は寝室になっていた
玄関を反対側から撮ったもの。小さな窓が唯一光が入るところ。左側には寝室に上がる段差がある。
フロントからあまりに遠かったので(片道6分)、ホテル側が添乗員に割り当てたようだ。ひろいリビング、ゆったりした寝室。まるで、どこかの女王か姫が使うかのようなバスルームでは、バスタブとシャワーブースが別々になっていた。暗い奥まった場所にあり、外の光は玄関からしか入って来ない。湿気もあった。
それでも抵抗なく快適と思えたのは、今まで何度もこういうホテルに泊まっているからなんだろうな。お客さんたちにも、もし次があるならば、今回とは違う感覚で楽しく宿泊できるのかもしれない。
寝室。左奥にはバスルームがある。仕切はカーテンのみなので、入浴やシャワーの後はバスルームの湿気が入ってくる。
お客さんのお部屋もそうだったが、バスルームだけはやたら立派だったな。
出発した日に季節外れの雪景色を楽しめたのは、いい思い出になったと思う
ホテルの名前はHANEDAN SUITES。中心地からは遠いがとても静かに過ごせる。この手のホテルとしてはかなりおすすめ。
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コメント
コメント一覧 (4)
よほど幸運な部屋に当たったのか、私の感覚がおかしいのか…😅。
部屋の段差も、湿気も、窓の少なさも、壁のザラザラ感も…洞窟らしくて、期待を裏切らず堪能しました。
天蓋付きのベットや大きなバスタブはまるでお姫様気分でしたよ〜。
マスター・ツートン
が
しました
お客様全員がルームツアーを始めるんですよ。
くじ引きで決めたから文句は聞こえないですが、添乗員の部屋も見せて下さい。と言われるので、残り物の部屋にしているんです😅
マスター・ツートン
が
しました